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待たせてごめん!と、寒空の下、北山がやってきた。



「今来たとこだから大丈夫だよ。」



ちょっと顔が赤く見えたのは、きっと今日の風が冷たいから。



「ふふふっ。藤ヶ谷とふたりきりでカフェとか、幸せだなぁ、俺。」



ひとりごとみたいに、幸せそうに呟いた北山の小悪魔度合いにはいつも驚かされる。




こんなこと誰にでも言ってるのかな、って

嫌な妄想ばかりしてしまう。






もし神様がいるのなら



どうか時を止めてください。



こんな寒い日ぐらい、好きな人の手を握って街を歩くことを許してください。





「へっ…?ふ、ふじがや?」

「手、あっためてあげる。」







なんだかんだで、手を繋ぐのは初めてなんだよな、俺たち。







きゅ、っと握り返されたその手は、

冷たくて、でも、確かに俺の手の中にあって

じんわりと左手の熱が

北山の右手に伝わっていく感覚が

嬉しくて、もどかしくて、切なくて、やるせない気持ちになった。







あぁ、もうこの幸せも、また終わる────

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作者名:ちぇりリン | 作成日時:2017年10月18日 11時

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