131.クラゲ ページ28
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全面ガラス張りの、fish。
窓際に私は座ると、外の様子がまるで分かる。
カズが言ったように空は不安定な曇り空。雲行きがあやしいその空はもう少しで不機嫌になりそう。
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ジャーー…。
トントン。
ガチャ。
ジュー。
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厨房からカズが働いている日常生活の音が聞こえてきて、それが耳にフィットする。
しばらくそれを目蓋を下ろして聞いていると
キュッキュッとモップを一生懸命かける音が聞こえて目を開けた。
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「…琴海、ちゃんだよね」
琴海「あっ、はい！」
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思ったより近くにいた琴海ちゃんは、急に私に話しかけられて華奢な肩をビクッと震わせる。
まるでウサギだ。
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「あの…改めまして、西野Aって言います。普通の会社員です(笑)」
琴海「あ…、森田琴海です。すぐそこの高校に通ってます。17歳です」
「すぐそこの高校って…、あの進学校の！？」
琴海「まあ…、名ばかりですけど…。進学校って言っても本当の天才、みたいな人は特進クラスとかの人で」
「いやいや…、でも難関校でしょ？すごいよ！」
琴海「授業に追いつくので精一杯です」
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ふわっと香ったのは柔らかな柔軟剤の香り。
…今時の女子高生とやらは香水もつけるらしい。時たま駅とかですれ違うとキツイ匂いがする。
香水っていうのはワンプッシュぐらいで、ふわ…んと香るのが一番いいのに
彼女たちは何を勘違いしているのか、何プッシュもして香りをガンガン盛りつける。
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…別にそれを否定するわけじゃ無いけど、電車内とかでその匂いが充満するとなかなかキツい。
琴海ちゃんはどうやら今時の女子高生ではないらしい。
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だってまず茶髪じゃない。艶やかな黒髪。
香水もつけずに、メイクは…言っても下地とファンデぐらい？
言葉遣いも丁寧だし、配慮も伺える。仕事ぶりもどうやら真面目だし
あれだ。言うなら学級委員長タイプ。
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でもこういうタイプは大抵二つに分かれる。
ひとつは清楚を気取ってる猫かぶり計算尽くしの女の子。
ひとつは純粋な純朴な女の子。
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恐らく琴海ちゃんは…
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「趣味って何？」
琴海「読書です。ミステリーが好きで」
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完璧だ…！
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