mellow

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くそ…やっぱり帰るべきだった。席が窓際なこともあってめちゃくちゃ眠い。ギョンス先生は声が低いし大きな声を出すタイプではないから余計に眠気を誘う。授業中は必要なことだけを淡々と話すから怖く思われがちだけど、実際はのんびり屋でおしゃべりが好きなんだよ…。この前どうしても分からない箇所があって、研究室まで質問に行ったらえらいねって言っておみやげのお菓子くれたし、おまけにコーヒーまで入れてバイトまでの時間つぶしに付き合ってくれて…。






「A聞いてる？」
『先生とは付き合えません！…いやでも先生なら…』
「僕が嫌だよ」
『ベッキョン先生とドンヒョク、ナナにもフラれてトドメはギョンス先生…わたしは一生独り身なんだ…』






じゃあ俺と付き合う〜？なんて挙手しているチャラ男は却下。タイプ以前の問題に眼中に無い。そろそろ先生の雷が落ちそうなのを察し、それからは静かに真面目に授業を受けた。今日は先生もそこまでしっかりやるつもりはなかったのか区切りがよかったのか、早めに切り上げてくれた。








「A！！！帰ろ！！」
『シューシー先輩？』
「暇だから遊ぼ！」
『は〜〜い』






この性格で特しているなと感じるのはこういうとき。誰とでも仲が良くて誰にでも平等なA、そのイメージがあれば誰にも何にも言われないし、仲がいいんだ〜で済む。わたしのことを知らない子からしたら頭が悪そうな男好き、そう思われても仕方ないけれど悪知恵が働くわたしは、各クラスに数人仲良しの友達を作っておいたから心配はないと思う。変な噂が流れそうならその子たちが否定をしてくれるはず。水鉄砲で遊んでいた時に話したお姉ちゃんのクラスのあの子たちとか、ああいう感じの子は意外とめちゃくちゃ情に厚い。

それはわたしのためでもあるし、1番はーーーー









『あ〜〜先輩待って、お姉ちゃんに言いに行かなきゃ』
「俺も行く！Aの双子見てみたい」






後輩のエリアにいる先輩ってだけで目立つのに、それがさらにシューシー先輩だからかものすごく視線を感じる。先輩は毎日こんなに見られてるの？体に穴開きそうなんですけど。





『ナナ〜お姉ちゃんいる？』
「ジェノと話してるよ…今日は一緒に帰れない？」
『うん。先輩と遊んで帰るって伝えといて欲しい』
「了解」





正面から見れてない！騒ぐ先輩の腕を引っ張ってその場を後にした。たくさんの視線に紛れ、わたしの背を追うそれに気付けるはずもなく。

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