mellow

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『ねっむ！』
「顔薄いけどAで合ってる？」
『マジでムカつく』





海だし暑いし汗をかくだろうからメイクを若干薄めにしてきたのが間違えだったらしい。会うなり毒づいたロンジュンは早速SNSにわたしの写真をアップしていた。通常わたしの代わりに制裁をしてくれるジェミンは、電車であんなに寝たのにも関わらず立ったまま頭はジェノに預けて爆睡していて、イマークはお姉ちゃんと話せて嬉しいのか挙動不審だし、わたしの味方は実質ほぼゼロだ。








『誰待ってんの？』
「シューシー」
『先輩来るんですか！？やった』
「客引きと店内分かれて欲しいらしくて、シューシー得意そうだから呼んだ」
『じゃあわたしも客引きやる、イケメン呼び込む』
「理由が不純なんだよ純粋に頑張れよ」
『朝からうるさいな』







わたしが一目惚れして買った、今着ているオフショルにも露出しすぎだとケチをつけてきたし(ロワジュンは顔を隠したら最高なのにと残念がっていたからつねっておいた)、サンダルのヒールが高いだとか髪をそんなに巻く必要はあるのかとか、わたしとイマークは何か特別なハプニングがない限りわたしとイマークのままらしい。









「呼び込みするなら気を付けて、電話出られるようにしとくから何かあったらすぐ連絡してね」
『世の中の男全員にジェノの爪の垢煎じて飲ませてやりたい』
「そんなもん飲みたくねえ」
『特にロンジュンとイマーク』
「やー！俺何も言ってないだろ！」




チクチク刺さるような視線はお姉ちゃんのものだろう。きっと嫉妬をしているんだろうけれど、わたしはジェノのことを何とも思っていないから安心してくれないかな…ジェミンは脳が覚醒し始めたのかジェノの肩からのろのろ離れてわたしに覆いかぶさった。







「俺も呼び込みする」
『…ナナ何かあった？』
「何かあったのはそっちでしょ」






何かというのは、お姉ちゃんに対して抱いている名前のない感情なのかそれともイマークに対してのことなのか、はたまたどっちもなのか。自分できちんと立ったジェミンだけれど、お姉ちゃんからはわたしを遮るようにしているから、きっと前者なのだろう。







「俺はAの味方だからね」








前も聞いたけれどわたしには敵がいるみたいな言い方だ。よく分からないままお礼を言うと、分かってないでしょ〜〜とジェミンではなくナナファンが見たら失神してしまいそうなくらい甘い笑顔をくれた。

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