mellow

・ ページ39

『そこの綺麗なお姉さん達〜！まだ決めてなければイケメン高校生いっぱいいる海の家どうですか？？』






男の人は危ないからやめてとジェミンに圧を掛けられたため、大人しくわたしのタイプのお姉さんたちに片っ端から声を掛けて、«イケメン»«高校生»というワードに反応したら何枚か写真を見せるというセコい手で案内を繰り返していた。何歳になっても女の人はイケメンが好きらしい。休憩をしようと戻ってきたら、シューシー先輩とジェミンも相当連れてきているらしく、数時間前とは比べものにならないくらい混雑していた。








「呼び込みしばらくいいからこっち手伝って！」





これだけ忙しいなら時給アップしてくれるかなあ、とよこしまなことを考えつつ髪を結び直す。Tシャツとショートパンツを脱いでお客さんに紛れ込みたいけれど、お金を貰うわけだしきちんとやらないと。タダ働きだったら80%くらいはそうしていたかもしれない。






『どっち手伝えばいい？』
「裏はおじさんたちがやってくれてるから表出て」
『お姉ちゃんは？』
「言われた通り女の人のとこしか行かせてない」






頭の回転の早さでドンヒョクを見直したけれど、お前すげえでかい訳じゃないけどまあまああるんだなという発言で全て台無しになった。







席番や備品の位置、お手洗いとシャワーの場所は把握済、メニューだってそんなに多くないし、出るものもほぼ限られている。お皿の片付けはセルフ式だから、やることは注文を取ることと提供だけだしそんな大変なことでもない。ただお姉さんたちがイケメン(笑)と話したいがため大量に注文してそれが追いついていないだけだ。裏に入ったところで何も分からないから邪魔になるだけだろうし、ここは様子を見ながら提供をして暇になったら呼び込みに戻ればいいか。









お姉ちゃんも楽しんでいるようで、にこにこしながらジェノと話している。この仕事が楽しいのか、ジェノが気にかけてくれているのが嬉しいのかは定かではないけれど、可愛い笑顔が見れてわたしは幸せだ。そこから少し離れたところでイマークはちょっかいを出してくるお姉さんに困っているようで、カモメの形をした眉毛を動かしながら必死に対応をしていた。多分あれは反応見てからかってるんだろう、イマークは真面目だから受け流しやあしらうことができないに違いない。







もう少しそれを見ていたかったけれど、仕事の妨げになっているためそこの席に向かった。

・・→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す