mellow

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わたしの視界を遮ったものは、普段使っているものよりふた周りくらい大きいジャージ。



「これ使いな。長袖使ってないから綺麗だよ」
『でかい』
「お姉さんは先生に質問しに行っててまだ時間かかりそうだけど？」
『じゃあ借りるね。明日返す』
「忘れそうだから今日返して」
『否定できない…』




どう考えても大きいけれど、いつ戻ってくるか分からないお姉ちゃんを待っていたら移動する時間が無くなるかもしれない。お礼にブレザーのポケットに入っていたチョコレートをジェノに渡して帰ってきた。




「でかくね？」
『ジェノに借りた』





やっぱり突っ込まれたけど、体育ができるなら何でもいい私は早足で体育館まで向かう。シュートを決めた回数が少ない人は帰りにラーメンをおごるという勝負があるから負けるわけにはいかない。これがバレたらジェミジェノも絶対付いてくるだろうし流れ的におごらなければならなくなる。ジェノはジャージ貸してくれたからいいんだけど、何もしていないナナにおごるのだけは嫌だ。




「お前！ジャージなんだよそれ！」
『うわ出た』




目の前からがやがやしている集団がやってきたと思ったらまさかのイマークたち。お友達のシューシー先輩とジョンウ先輩はめちゃくちゃ優しいし面白いからイマークと仲がいいのが不思議だったりする。
耳を塞いで通り過ぎようとしたら、それを許すはずもなく首根っこを掴まれた。結構力強いんだけどわたしのことメスゴリラかなんかと勘違いしてない？





「授業遅れちゃいますよヒョン〜」
『先輩も遅刻しますよ、他の２人も巻き込むつもりですか？』
「う…」



服装よりも遅刻のほうがイマークにとって重大だということが分かったため、これからはそれを理由にして逃げることにしよう。出席日数さえ足りていれば遅刻しても欠席しても構わないというわたしはなめ過ぎなんだろうけど、人に迷惑はかけていないから問題ないはずだ。




『シューシー先輩またご飯行きましょうね』
「は？」
『わたし先輩に可愛がってもらってるんで…イマークと違って性格も合うし』
「行きたいところ考えといて！」





ちなみに本当にご飯に行っただけでそれ以上は何も無い。…うそ、キスはされたけどそれだけだ。その瞬間、先輩はかっこいいけどそういうんじゃあないなって思った。それは向こうも同じだったらしく仲がいい先輩後輩の関係を続けている。きっとお姉ちゃんはわたしがこんな子だと思ってないんだろうな。

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