なんだかんだ、君だけ《３》

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結局、宏光の流れに呑み込まれて

一緒に露天風呂に入っている



……でもやっぱり恥ずかしくて

タオル巻いた状態の私



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それでもドキドキして、お湯が風に吹かれて小刻みに動く度に

私の心臓の動きで揺れているんじゃないかって思ってしまう



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宏「気持ちいいわ〜。 眺めも最高だな」




「…………う、うん」




宏「ちゃん見てんの？」




「見てますぅ〜」




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浴槽から見た景色は

宏光の言葉通りにそれはそれは最高で



夜の空の色が反射して揺れている海

周りの屋根やお風呂の湯を照らしているオレンジ色のライト


まるで幻想的な世界のようだ




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何度も見渡してその度に綺麗だなぁって思っていると


いきなり頭をチョップされて

宏光が動かした腕の勢いでポチャっとお湯が音を立てた




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「った。 何すんの」




宏「ふっ、全然見てくんねぇから〜」




「見てるよ。 すごい綺麗だなって思っ…」




宏「そっちじゃなくて」




「え……？」





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二人っきりの空間の中

かぶせるようにボソッと響く宏光の声




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宏「さっきから全然俺のこと見てないじゃん」





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お湯から露出している肩に宏光の手が触れて




濡れた長い前髪も

オレンジ色に光ってる肌も

キリッとしたシャープな目も



びっくりするほどの色気を放っていた




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「……ごめん」





宏「ったく。 もう身体見た事あんのにさ？ なんで今更照れんだよ」





「うっ、るさいっ！」





宏「まぁ、徐々に慣れてもらうけどね〜。 そういうことで今日も上がったら特訓だから」





「……はい？！」



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口角をキュッと上げて笑ってる宏光


そのやけに怪しい笑みは何？！




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宏「てか、ここで言おうと思ってた事あんだけどさ。 せっかくの誕生日だし？」




「な、なに？」




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何を言われるのかドキドキしていると

チラッと私を見た伏せ目がちな瞳




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宏「生まれてきてくれてありがと」




「……宏光」





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低い掠れた声でそう囁かれた

目を合わすと「なんか恥ず〜」と照れたように笑ってて



数秒間、じっと見つめ合った後

どちらともなく唇を合わせた




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