071*° ページ31
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なぜ逆方向から来たか聞くと
『この道は中学校時代に部活で走っていたコースだから近道、知ってるの』という何とも裕太らしい答えが返ってきた
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少し息が上がっていて
急いで来てくれたのが申し訳ないけど……嬉しかった
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裕「花火、始まっちゃったけど間に合って良かったわ。 ここからでも充分見えるね」
A「うん! 来てくれてありがとう」
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裕太の言う通り私達が今いる場所からでも
建物の影になることもなく花火はよく見えた
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裕「……それはこっちのセリフ」
A「え?」
裕「だって、最初に迎えて来ようとしてくれたのってAでしょ?」
A「うん、まぁ……。 意味なかったんだけどね」
裕「そんなことないよ」
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裕太には沢山歩かせて
結局は二度手間みたいなものになってしまったし
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裕「こうしてAと一緒に綺麗な花火を見れるってすげえ幸せ」
A「ん? なんて言った?」
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裕太が今何かを喋ったけど
ドーンと大きな花火の音が鳴ってかき消されてしまった
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裕「あのさー、急いで来たから崩れちゃって……A、浴衣直せる?」
A「あ、うん。 ちょっと待ってね」
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今のは浴衣の事だったのか!
裕太の格好を見ると確かに胸元が少しはだけていた
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急いで襟を直して帯の下のお端折りを引っ張っていると
頭に何かが触れた感覚があった
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裕「やっぱ似合うわ」
A「へ?」
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裕「髪飾り。 Aに渡したくてさ」
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鏡で見てみて、と言われて言われるがままにそうすると
頭に乗っていたのは向日葵の髪飾りだった
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A「えっ、いいの?」
裕「うん。 Aって向日葵が似合うよね」
A「えー、そうかな? わざわざ買ってくれてありがとう。 私にも何かお返しさせて? 食べたいものあったら何でも奢るし」
裕「マジ? じゃあ……」
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裕「俺のほっぺにちゅーしてくんない?」
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作者名:しょーみつしょ。 | 作成日時:2018年8月12日 18時