【ｄ！】薬売り兼魔法使いです！【軍パロ】 (ページ2)

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きっかけは本当に些細だったページ2

その日、大学のサークル活動の一環で山にキャンプに行く予定だった。
大学の一室に集まり軽く打ち合わせをしてみんなで最寄り駅に向かう。しかし忘れ物を取りに私一人部屋に戻ったのだ。
忘れ物を手にした私が部屋から出るとそこは見慣れた大学の廊下ではなく見たことのない街並だった。

一瞬何が起きたかわからず思考が停止する。
確かめるために二、三歩足を進め見渡してみるが中世ヨーロッパを思わせるような建物が並んでいた。
ふわっと吹いてきた風は日本独特な湿気を孕んでおらず開いた口の中を乾燥させていく。

あっけにとられた私の意識を引き戻したのは背後から聞こえるバタンと扉の閉まる音だっった。
振り向けば日本ではあまりお目にかかれないタイプの木の扉が静かに佇んでいた。

慌てて扉を開ける。
大学の扉はとても軽かった。しかしこの扉はかなり重い。
少し力を入れて引くと見慣れた大学の一室、ではなかった。
狭くも広くもない、家具が一つもない部屋だった。
ただ部屋の真ん中にポツンと本が一冊おかれていた。

私は何かにとりつかれたかのようにフラフラと本に歩み寄り本を手に取った。

手に馴染む。
導かれるようにパラパラと本を開く。が、全く読めない。

知らない言語で書かれているためこの本が何の本かすらもわからない。
せめて挿絵でもあれば推察できたのだが。

ダメもとで１ページ目から開いてみる。
やはり読めない。しかし、わかる単語があった。

知らない言語、自分は発音すらもわからないはずだ。
なのに文字からイメージがわき上がる。

この単語は、

「火？炎？」

小さくつぶやいた瞬間目の前に音を立てて火の玉が現れた。
本を強く抱きしめ後ずさる。警戒する私をよそに火の玉は数秒で消えていった。

どこから火の玉が？どうやって？この本のせい？

本をぼんやりと眺めるが何も答えてくれない。

ここ数分で起きた不可思議な現象。全く理解できない。困った。

見たことのない街、帰り道もわからない。
はてさて、どうしたものか。