月の中の兎�� ページ4
『清海A』
『失礼しまーす』
「お、来たなAちん！」
昼休みの放送室。
入ってすぐ私を出迎えてくれたのは三年生の『仁兎なずな』さん。『に〜ちゃん』と呼んで、と言われた日からそう呼んでいる。
『に〜ちゃんは早いっすね。』
「まあ今度の『S1』は大きいからな。打ち合わせもたくさんして成功させないと！」
『もしかして、『Trickstar』が勝つとでも思ってます？』
私がそう言うと、びくっと肩を震わせて力なく笑った。
そして「Aちんは手厳しいな。」と呟く。
「思ってるんじゃなくて、『信じてる』んだよ。」
『……』
「『Trickstar』はこの学院にない輝きを持ってる奴らだと思うよ。」
『……そうっすね。夢に向かってひたむきで、キラキラしてる。』
「！ 会ったことあるんだな、Aちんも。」
けどやっぱり、彼らだけじゃ『生徒会』には勝てない。
真緒先輩の言ってた『助っ人』がどれだけ有能なのか。
「あいつら見てるとさ、何でもやれちゃいそうに見えるだろ？」
『何でも』
「うん。まあ悔しいし、おれもやり返してやりたいって気持ちはあるけど。あいつらの革命の邪魔はしたくない。だから今回の『S1』は張り切ってる♪」
よーし、とガッツポーズをして書類を開き始めるに〜ちゃんに合わせて、私も持ってきた書類を開く。
当日の流れや、案内の文などを確認していった。
『……に〜ちゃん、』
「ん〜？ 何だ？」
『あんたは凄いですよ。』
「へ？」
急に褒められて驚いたのか、間抜けた声を出すに〜ちゃん。私はその反応に少し笑いながら彼を見つめた。
自分が出ていきたいだろうに、そんなことを悟らせない表情とか。一番無力さを噛み締めているだろうに、後輩を励まして上を見る姿勢とか。
けど、こんなことわざわざ本人に伝えるのは野暮だ。
『もし、に〜ちゃんの信じたものが実ったら、私と一緒に泣いてくれますか。』
「！ ……もー、ほんと。Aちんには敵わないな！」
よしよし、と私の頭を撫でるに〜ちゃん。
私はそれを拒絶しなかった。
こんなに苦しそうなに〜ちゃんを真っ直ぐ見つめたくなかったから。
「実ったら、な。絶対、絶対だぞ。」
『はい、約束です。破ったら許さないですからね。』
「ははっ、もちろんだ！ おれはに〜ちゃんだからな！」
その声は、とても嬉しそうに震えていた。
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生しょうが - 澪。さん» 同感です…！楽しみにしてもらえて嬉しい限りです！更新頑張ります！ (2022年9月4日 22時) (
レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
澪。(プロフ) - 司くんは丸いぐらいが可愛いですよ、😌 いつも投稿楽しみにしてます！身体には気を付けて頑張ってください〜🔥 (2022年9月4日 20時) (レス) @page38 id: ebb5373f91 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが - 一織さん» コメントも応援もありがとうございます！ぜひぜひ楽しんでいってください！ (2022年8月18日 22時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
一織(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも楽しみに読ませていただきますね〜！ (2022年8月18日 21時) (レス) @page4 id: a117ee3fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年8月18日 13時
