乱闘に混ざって�� ページ34
『大神晃牙』
何だこいつ……！ めっちゃ速えぇ……！
胴に入りそうだった右脚の一撃をスレスレで
それをキメようとしたチビは、躊躇いも無くもう一撃入れようと俺と距離を詰めた。
近づいた顔は、まるで作り物みたいに綺麗な顔だった。
ただでさえ慣れていない女子の顔が至近距離に来て、思わず退く。
「先輩、もしかして案外ビビり？」
『んだと、テメ〜！』
「あれ、キレた？ 色んなことに苛ついてたら寿命縮んじゃうぞ〜？ まあ関係ねえけど。」
喧嘩慣れしているのか、煽りに躊躇がない。
そのころん、と転がるような綺麗な声に、図らずとも戦意を削がれる。
「先輩はそのギターが大切なんだよな？ しっかり抱えとけよ〜っ！」
シュンッと、まるで流水のように流れる動きで俺に近づくと、その左拳が視界いっぱいに広がる。
……あ、殴られる、
逃げられないその近さに、俺は目を閉じて身を固めた。
オーディエンスの声がやけに鮮明に聞こえてくる。
まさか『鬼龍紅郎』とやる前に、こんな女に殴られなきゃならねえのかよ。
覚悟を決めた俺に流れた衝撃は、
額をピンッと指で弾いたような軽いものだった。
「さすがに『アイドル』の顔は殴れねえって。身構えすぎだろ、パイセン♪」
『な、……な、』
「オイオイ、そんなんで『龍王戦』勝てんの？ ほら、『真打』のおでましだぜっ！」
チビの指差した方には、ハンカチか何かで口を拭く、俺の対戦相手・『鬼龍紅郎』その人がいた。
そいつは『鬼龍紅郎』の不戦敗を防ぐための時間稼ぎだったようで、「不完全燃焼」とでも言いたげな顔でステージから降りていく。
その後ろ姿に、思わず俺は『おい……っ！』と声をかけた。
「？」
『……俺様は負けてねえ！ 良いな。』
「ははっ！ そもそも勝負じゃねえし。それより頑張れよ？ 応援してっから！」
眩しい笑顔を向けてくるチビに、口角が上がるのを必死に我慢する。
そのままそいつは去っていき、『鬼龍紅郎』がステージ上に上がってきた。
「あったまってんじゃねえか。そんなに嬢ちゃんとの試合が白熱したか？」
『はぁっ？ んなわけね〜だろ！ 俺様はあんたと勝負したかったんだよ！』
はっ、と吐き捨てて、鬼龍の顔を見る。
忘れようとしてんのに、あいつの笑顔が忘れらんねえ。
『早くやろーぜ、燃え尽きねえうちによぉ……！』
俺の胸は、やけに熱く高鳴っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一織(プロフ) - 生しょうがさん» 返信ありがとうございます！！ぜひぜひこれからも応援させてください…！！ (2022年8月13日 23時) (
レス) id: a117ee3fb5 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが - ♡ろぉる♡さん» コメントありがとうございます！一番だなんて…！嬉しいです！これからも応援よろしくお願いします！ (2022年8月13日 18時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
♡ろぉる♡ - すごい好みの作品です！今までで一番好きです！更新頑張ってください！ (2022年8月13日 17時) (レス) @page26 id: fb36bde41e (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが - 一織さん» ありがとうございます！良ければこれからも応援してくださると嬉しいです！ (2022年8月13日 11時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
一織(プロフ) - 初コメ失礼します、すごく好みな作品にやっと出会えました！ありがとうございます！ (2022年8月11日 23時) (レス) @page13 id: a117ee3fb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年8月11日 14時
