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「えっとね、まずピアノでしょ、フルート、バイオリンビオラチェロコントラバス、あとはハープもやらされた。クラリネットもやったな。あとトランペットも出来る。あ、サックスも出来るかな。っつか金管はたぶん大体できる。あとは...」
「うん、もういいかな」
「そう?まだあるけど」
すごいな、池谷くん。この銀髪ピアスという風貌でバイオリンとかやってるのか。
色々と想像し難い。でもサックスは似合うかも。
想像してみるのは意外にも簡単で、華麗にサックスを操っている池谷くんの姿が浮かんでくる。...いつか見てみたいな、なんて。
と、ここでまたもや雅斗くんが疑問を呈す。
「そんなに楽器使えるなら吹部とか入ればよかったのに」
「いや」
俯いてキーボードに優しく触れながら、池谷くんはそっと口を開いた。
優しく、優しく、誰も傷つけないように。
「軽音で、キーボードがやりたくて」
その言葉は余りにもか細くて、酷く儚くて。
誰かから願われたのか。
誰かから祈られたのか。
銀色の祈誓が彼をどう動かしたと言うのだろう。
ここまでの才能に恵まれながら軽音を選んだ彼に、どのような決意があると言うんだろう。
「...ま、吹部より軽音の方が楽しそうじゃん?」
白い歯を見せて笑った池谷くん。
...そうかなるほど、この人は根っからの陽キャなのだ。
とても納得。
「じゃ、文化祭ライブで歌う歌、決めるか」
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いちご - 動かしてください。頼みますから!1コメ万歳 (2020年6月14日 14時) (レス) id: bc261c15a3 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - いちごさん» story1で言ったけどな(大声)うるせえネタバレすんな まあ彼の恋が動くか否かはお楽しみに... 1コメおめでとう (2020年6月7日 11時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 雅斗くんドイツ入ってたんだ知らなかった笑また昔のようによく笑ってくれるためにはあの子が必要だね・・・ (2020年6月6日 22時) (レス) id: bc261c15a3 (このIDを非表示/違反報告)
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