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まずお見舞いに来たのは両親、それから三個上の兄。
無茶な行動のせいで叱られもしたけれど、何よりも無事を喜んでくれた。
兄からは「流石俺の妹」とかいう称賛をもらった、嬉しいけどもうちょっと私の身体も心配してくれ。
次は誰か知らない中年の女性、どうやら警察を呼んでくれた人らしい。
そういえば証拠の保存ばかりに考えが及んでしまって肝心の警察は呼び出せていなかったな、反省反省。
感謝を述べて少し世間話、実に人のよさそうな女性だった。
「……ふぅ」
医者によれば特に身体に大きな影響はないらしく、あと二日もすれば退院できるという。
寝たきりの生活というのは中々退屈なもので、知らない人でも良いから面会に来てくれないかな、と贅沢を考えてしまう。
とその矢先、扉をノックする音が。
「Aちゃんっ、大丈夫だった!?」
「ちょ、ちょ!大丈夫ですから!!」
「どうぞ」と私が言う間もなく乱暴に扉は開かれて、そこには眼鏡無しのこうちゃん先輩。
怖いくらい真剣に迫ってくる彼に終始身体を仰け反って取り敢えず座らせる。
親よりも心配してるよこの先輩、とかのかしつつ無事そうなのが何よりだと安心した。
「先輩、あの後私どうなったんです?」
「あー……えっとね。あの後すぐに警察が駆けつけてきて、ヤンキー三人は今身柄を確保されてるみたい。あとスマホのデータ消されてると思うけど……」
「あ、自宅のパソコンにバックアップとってるんで大丈夫です」
「用意周到……で、俺は大したケガもなかったから警察署で事情聴取。あ、あれ正当防衛だってさ、だから特に何もないと思うけど」
「よかったぁぁぁー……」
安堵からか全身の力が抜ける、裁判官とかモロ資格要るからね、危ない危ない。
「それよりも……ちょっと不謹慎だけどさ、あの時のAちゃん強かったね。何か習ってたの?」
「柔道を少々。でもやっぱり腕が鈍ってましたね……お恥ずかしい」
「……へぇ」
「なんで不機嫌なんですか」
「俺カッコ悪いなぁってさ。女の子に守られてるんだもん」
ふてくされるこうちゃん先輩、やっぱりそういうの気にするんだなぁ。
その姿はまるでイヤイヤ期を拗らせた子供のようで。
「守られてて良いんじゃないですか?」
見開かれる猫目、紅葉の頬。
「私が側に居て、こうちゃん先輩を守ってあげますよ」
私の一個上の先輩は、一生懸命で素直で犬っぽくて、保護欲を掻き立てられる存在です。
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やまうみ。 - 山さん» ありがとうございます!許可とらなくても良いんですか...?やっちゃいますよ...?山様も、僕の作品で書きたいものがあればどうぞどうぞ(無いと思うけど) 注意書しておきます、ありがとうございます!これからも続く限りずっと応援と尊敬と敬愛を忘れません! (2019年10月22日 10時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - やまうみ。さん» 全然大丈夫ですよ、寧ろ許可なんて貰わなくてもどんどんインスパイアして貰えば…… 注意して欲しいこと……は、そうですね。万が一読者様に『パクりなんですか?』と聞かれたら事情説明がややこしそうな気も……その作品の中で注意書きは書いた方がいいですかね? (2019年10月22日 9時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - echoeighter8さん» 了解しました!他の作品も急ぎ足で書きますのでお楽しみに…… (2019年10月22日 9時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 「時間制限賃貸彼氏」という作品をお相手と所々を改変して書かせていただいてもよろしいでしょうか。いや、ダメだったら全然断っても良いんです!この間のは拒否権がない感じになってしまったので。良いかダメか、注意してほしいことなど教えてください! (2019年10月22日 8時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
echoeighter8(プロフ) - 山さん» 続編書いていただけるなら全然待ちます! (2019年10月21日 13時) (レス) id: a38f594748 (このIDを非表示/違反報告)
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