ある朝の出来心＿sgi ページ15
俺達の朝は至って平凡だ。
早く起きた方がもう片方を起こして、二人並んで洗面所に向かって、顔を洗って髪をとかすまでがワンセット。
起床時間は基本早い方に合わせている。
眠いなぁ……っていう怠さとか二度寝の誘惑とかもあるけど、起きたら「おはよう」って言い合えるからこの習慣は好きだ。
「駿貴は今日用事ー……？」
「うん……ごめん、昨日遅かったんだよな？」
“大丈夫”と口にはするけど、鏡に映るAの目の下にはかなり濃い隈ができている。
寝起きだというだけでは納得のいかない間延びした声、受け答えもいつもより拙い返しばかりだ。
随分寝惚けているのか、先に歯磨きをしようとしてる、しかもそれ俺のだよおいおい。
「……あ」とそれに気づいたのは俺の指摘から六秒後ぐらい。
「今日は寝かせとけば良かった。ごめんなぁA」
「私もやりたいことあったし……あと駿貴と一緒に起きたかったから」
丁度顔を洗うタイミングにそれを聞いてしまい、加減を間違えて思いっきり水を放出してしまった。
お陰で服の一部がびしょ濡れ、部屋着だから良かったけど。
朝から爆弾発言を食らう事になったが、こうやって寝惚けた彼女が見れるのは昨日頑張った特権だと思ってる。
「駿貴、あれ、あれ取って」
長めの前髪をかき上げたヘアスタイルのAは、俺の向こう側に置かれた“あれ”…洗面器を指差す。
蛇口から出る水で洗えば良いのに、洗面器に溜めるのが幼少期からの癖らしい。
「ほいよ」
「ぁりがと」
意識を朦朧とさせたまま、顔にぬるま湯を浸けるA。
その姿を見ていると、唐突に、なんの躊躇いもなく。
その顔を洗面器に沈めたくなった。
下を向くAの顔を水面に沈めれば、突如襲いくる圧迫感からかじたばたと暴れている。
洗面器の縁に両手を添えて一生懸命酸素を得ようとしているが、俺の手が後頭部を押さえる力に押し勝てていない。
爆発するように浮かぶ空泡、溢れたぬるま湯は大分冷めている。
……三十秒、そろそろか。
「ごほっ……がっ、はぁ……？」
驚きからの放心状態なのか、Aは此方を怒るでもなく息を整えている。
ダメだ、早く彼女に掛ける言葉を、謝罪を言わなきゃ。
頭のどこかで理解はしていながらも、呼吸の乱れたAを見てしまうと謎の高揚感が沸き上がってくる。
濡れた前髪から滴る水滴、涙目で此方を見上げる彼女。
……嗚呼、なんか良いななんて。
とある朝の出来心。
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杠-ゆずりは-@発狂同盟 - 山さん» あっ、迷走してらしてるんですね…私は、最後にきっぱり片付ける文(？？？)というものが好きでして…w特にfkrさんの誘拐(？)の話みたいな終わりかたが好きなんです〜あっ、ご丁寧にどうも…此方こそお世話になります(？) (2019年10月8日 21時) (
レス) id: 550abac7bf (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - 杠-ゆずりは-@発狂同盟さん» 了解しました。とても素敵なシチュ……おみそれしました(謎) 個人的に完結方法に迷走する中、そう言って頂けると大変自信に繋がります。どうぞ続編でもご贔屓に(??) (2019年10月8日 21時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
杠-ゆずりは-@発狂同盟 - 山さん» いや、まぁ…全部好きです((((尊いことに変わりはないのでおっけーです(((り、リクエスト…！私はkwkmさんが大好きなので、夢主ちゃんが振られたあとに慰めて付き合う…的な…？(語彙力なくてすみません)のがみたいです！検討していただけたら幸いです…！ (2019年10月8日 21時) (レス) id: 550abac7bf (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - やまうみ。さん» 了解致しました。区切り上続編でのご提供となりますのでご了承下さい。 (2019年10月7日 21時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 先程はありがとうございました(土下座) 浅紅に嵌まれ大好きです。山様のガチ勢ですのでリクエストします(？) どこか儚く消え行きそうな夢主ちゃんをymmtさんが好きになるお話が見たいです。エンドは恋に落ちるところでも結ばれるところでも。シチュはお任せします。 (2019年10月7日 21時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
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