Trial Lover 〜お気に召しました？〜７

痛みと迷いの中で ページ19

平穏に包まれながら過ごしていたある日



撮影で寄ったショッピングモールの中を１人で散策していたA



少し先に居る数名の男性グループの姿が視界に入りふと目線をそちらに向けた時だった



「....！」



Aは自身の視線の先の人物を凝視する



その人物はAの視線に気付き目線を移すとAを見て驚いた表情を見せ思わず視線を逸らした



その男性は意を決したように再度Aを見つめAに近付いた



「....久しぶり。....こうして話しかけていいのかも分からないけど....」



タケルは伏し目がちに話しかける



「....久しぶり..だね」



Aは数年ぶりに会うタケルの姿に驚くと共にタケルの変貌ぶりにも驚愕していた



そんなAの視線に気づいたのか



「そんなに見た目変わったかな？」



どちらかといえば今風の、カラーされた少し長めの髪を遊ばせピアスや指輪などアクセサリーで身を固めていたタケル



今のタケルは短い黒髪を整え




着飾ったモノ全てを取っ払い爽やかさのある好青年




そんな例えが似合う風貌になっていた




「あっ....うん。一瞬タケルくんってわからなかった」



どんな表情で話せば良いのか




Aはぎこち無い表情でタケルを見つめ




「....動画観てるよ。元気そうで安心してる」




そう言って微笑むタケルの目はあの頃と違い穏やかで



「....タケルくん変わったね。凄い丸くなったというか....」



Aの言葉にタケルはふっと笑い




「あれから何年も経ったしな」



あの電話の後、タケルは裁判にかけられ



示談で済んだものもあったが数々の余罪、そしてナオキへの傷害罪なども含め実刑判決となり



風の噂で模範囚だった事もあり仮釈放も早まったと聞いていた



出所後の動向は誰も知らず



ネットでも目撃情報もなかった為タケルの生死も分からないと言われていた



「A....あの日、電話でも伝えたけど....沢山傷付けてすまなかった。今もずっと悔いてる」



そう悲しげに話すタケル



「Aに対しても俺が今まで傷付けてきた人達に対しても後悔しかない」



心から悔いてる



タケルの瞳を見てAはそう感じた



「もう私には謝らなくて良いよ。タケルくんの事恨んでないし反省してるって伝わってるから」



その言葉にタケルは微かに安堵の表情を見せた

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