その笑顔が悲しい ページ11
Aの荷物を積みマサイは運転席に座り込んだ
助手席ではAが俯いたままで
マサイはその手を取ると
「帰ろうか···」
そう言って微笑んだ
車は走り出し
高速に乗るとマサイが口を開いた
「ご飯はちゃんと食べれてたか?夜は眠れたか?」
「うん。ちゃんと食べてたし夜もよく眠れたよ」
よく眠れたなんて本当は嘘
寝ては覚めを繰り返しては
側に居ないマサイを思い泣いていた
「相変わらず嘘がすぐ分かるな。その目のクマはなんだ。可愛い顔が台無しじゃねぇか」
「···寝ても目が覚めちゃって···マサイは眠れてた?」
「んー?全然眠れてねぇよ。俺の可愛いカワウソが逃げ出したんだ。心配で眠れねぇだろ」
疲れた顔で運転するマサイに申し訳無さが込み上げ
「···ごめんなさい···」
「謝らなくていい。ただ、もう勝手に居なくなるのだけは止めてくれ。心配で俺の身が持たねぇ」
そう言って笑うマサイの顔は悲しげで
「もう勝手に出ていかない。ちゃんとマサイと話して···これからの事決めるから」
Aの言葉にマサイは思い詰めた表情を見せ
「これからの事って···それは離婚するかどうかって事か?もしそうなら···俺は絶対別れねぇからな。離婚は絶対しねぇ」
繋いだ手を強く握りマサイは拒絶を示した
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自宅に着き部屋に入ったAは駆け寄ってくるチクワを抱き上げた
「チクがずっと淋しがってたぞ」
鍵を置き部屋へと上がるマサイと、その後を着いていくA
チクワを降ろし久しぶりに帰った自宅にどこかホッとして
「ちゃんと掃除も洗濯もやってたぞ。キッチンもピカピカだし」
「···偉いねマサイ」
「でもつまんねぇーの。いつもなら褒めてくれるAが横にいねぇから」
マサイはAを後ろから抱き締め
「本当に···淋しかったんだからな····勝手に居なくなるなよ···」
その声は震えていて
「勝手に離婚届を置いて、指輪を外して···本当何してんだ」
その言葉でAは目頭が熱くなり
「ごめんな···さい····ああするしかなくて·····今は···後悔してる。マサイを傷付けた···から」
頬を伝う涙がぽたりと落ち
Aを抱き締めるマサイの腕を濡らしていた
「地の果てまで追いかけるってそう言ったろ···そんな俺から逃げれると思うな」
マサイはAを抱き締める力を強めた
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JADE(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございます😊更新停滞気味ですが必ず完結はさせますので宜しくお願いします☺️✨ (8月29日 0時) (レス) id: 71c576afd7 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 神作と言っても過言ではないくらいとても良かったです (8月28日 1時) (レス) @page16 id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
JADE(プロフ) - よるさん» ありがとうございます☺️多忙過ぎて更新が止まっておりますが頑張ります😱 (2023年4月15日 10時) (レス) id: 71c576afd7 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - コメント失礼します!いつも楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください!! (2023年4月13日 18時) (レス) id: 1c4d9bd2ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:JADE | 作成日時:2023年2月24日 0時