進展 ページ12
自宅へと戻った２人はモトキを呼び顛末を話す
「許されなくてもいい···せめて謝りたい·····」
俯き涙する朱里
「拓真さんが機会を作ってくれたんです。思ってる事全部話してきて下さい。家族の事なので私は側にいられませんが良い結果になればとは思いますよ」
コーヒーを手にソファーに座り２人の前にカップを差し出す
カップを受け取ると朱里はAを見つめ
「····あの、Aさん」
名前を呼ばれモトキの隣に座ったAは朱里の方へ視線を移した
「やっぱり不思議で仕方なくて·····なんで·····助けようと思ってくれたんですか？普通だったら憎んで····２度と会いたくないと思いますよね？前に聞いた時、Aさんの知ってる人に似てるって言ってましたけど·····」
その言葉にAは
「···その人も、昔私に対して許されない事をして。記憶から消したい位憎んでいたけど···とても後悔していたから···かな。簡単に許せる事ではないけど許してみよう、そう思ったら少しだけ心が軽くなったの」
Aは弱々しく微笑みコーヒーを口に含む
「そう思えたのはモトキのおかげなんだけどね。モトキが私の考え方を変えてくれたからそうしようって思えた。それに優真くんと自分を重ねたのもあったから···だから朱里さんの為というよりは優真くんの為かな」
Aの言葉に朱里は黙り込み
Aの言葉で自分が優真にした事と同じ様な経験をAもしたのだと悟った
「·····どんなに謝っても謝りきれない·····許されようとも思ってません。ただ、感謝の気持ちだけ伝えさせて欲しい····明日優真達に会えるようにしてくれたのは他ならぬAさんのおかげだから」
涙を堪え真っ直ぐな瞳でAを見つめる朱里に
「私達が出来るのはここまでです。どんな結果になっても受け入れて下さい。そして··もう２度と誰かを傷付けないで···傷付けられた方はいつまでもその痛みを背負うのだから。それは何をしても２度と消えてくれない心の傷なんです」
そう話すAの瞳にも涙が浮かんでいて
母親との事
モトキとの事
沢山傷付いてきた
傷はいつか癒える
でもそれは表面上で
その傷は少しのきっかけで開き
痛みが溢れ出す
そんな思いをもう誰にもして欲しくなくて
Aが願うのはただそれだけだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：JADE | 作成日時：2023年2月21日 19時
