嘘と偽り滴る蜜 ページ5
彼氏が居るのに何してるんだろ
愛さなくてはいけない相手を忘れ、マサイとの電話を喜ぶ自分は最低だ
そう分かっていても·····
少しでもマサイと繋がっていられる何かが欲しかった
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「どうぞ、上がって」
「お邪魔します」
初めてくる岸の部屋は落ち着いた雰囲気で
「コーヒーでも淹れるから。その辺に座ってて」
ワンルームの部屋はベッドやTVなどが一部屋に収まっていた
クッションの上に座りベッドを背に座るA
コーヒーを手に戻った岸がAの隣に座り
今日の出来事やこれからの事を話していた
「今度映画にでも行く？それとも行きたい所あるかな？」
「どこでもいいよ。これから色々行けばいいし」
そう笑うAの表情はどこか無理をしていて
ふと岸がAの手を握り
「キスしていい？」
「···うん」
目を瞑り唇を重ね
何度も求めるように口付ける岸
今日部屋に呼ばれた意味は分かっていて
Aを抱き上げるように後ろのベッドに寝かせ
「···抱いてもいい？それともまだ早い？」
真面目な岸らしい発言で
「···ううん···大丈夫」
マサイを忘れる為に受け入れたのだから
きっとこうやって岸と過ごして
段々マサイの事を忘れていける
電話が来ない日の淋しさを募らせたりもしなくなる
肌を這う手に身を委ね
Aを抱きながら
「ねぇ····俺の名前····呼んで？」
そう吐息混じりに話し掛け
「····秋人(あきと)」
そう呟くAに
「初めて名前呼んでくれて嬉しい···A···」
秋人は組み敷いたAを抱き締めキスをすると舌を絡め
秋人の匂いを感じながらAは目を閉じ
感情を殺し続け流れに身を任せた
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「···するのは早過ぎた？キスもしたばっかりだったのに」
腕の中にAを抱きながら秋人が問い掛ける
「ううん···気にしてない。大丈夫だよ」
秋人に抱かれ胸に顔を埋めたままAが答え
秋人は自分と付き合ってからもマサイとAが仕事中、２人で話している姿を何度も目撃していて
付き合うのをOKしてくれた
だから大丈夫
そう思っても２人の仲の良さに不安が募り事を急いだ
「A···好きだよ」
「うん···私も」
息を吐くように嘘を付く
そんな自分に自己嫌悪した
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作者名：JADE | 作成日時：2023年1月16日 22時
