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季節は気付けばもう梅雨に入った。
5月、カフェのバラは無事咲いていた。
淡い黄色で、あまりにもきれいで愛おしく感じてスマホで写真も撮ってしまった。
そして今は、紫陽花がお店の前を鮮やかに彩っている。
毎週咲き具合を見るのも楽しみで、ここ2週間は紫陽花がテーマの本を読み続けている。
「おつかれさまでした」
「A、このあと飲み行かない？」
「あ、今日はごめん」
「も〜花金いつもなにしてるの〜」
「ちょっと、用事があるの。」
「なに、もしかして貢いでんの？」
「そんなんじゃないって。あ、ほら明日千ちゃんと3人で約束してるじゃん。」
「まーそーだけどさー、たまには仕事終わりに付き合ってくれても良くない？」
「今週はダメなの。じゃあね」
同期のにかこと二階堂くんをなだめて、残ってる先輩にも挨拶して、わたしは今日もあのカフェに向かう。
ジメジメした空気の中、店先の青や紫、薄紅色の紫陽花はとても爽やかで、しばらくじっと見惚れてしまう。
こんなに満開な表情を見せるのってこの季節の中でもこの一瞬だけなんだなあって思いながらスマホのカメラで写真を撮ろうとしたら
カランコロン…
お店からジョウロを持ったいつものバリスタのお兄さんが出てきた
「あ、こんばんは」
「…こ、こんばんは」
なんだか恥ずかしくて、持ってたスマホをポケットにしまうと、彼はなぜだか小さく微笑んだ。
あ、笑った
あれ、そういえば笑ってるところ初めてみたな。
本当に色白で、ジョウロを持つ手は細長くて
そっと紫陽花の花びらを撫でる指先もきれいで
よくよくみたらこの人とんでもなく美しい…！
白のカッターシャツと黒の腰にかけているエプロンがよく似合っていて
背は高いし、さらさらの黒髪
紫陽花を見つめる優しそうで少し眠たそうな目
「紫陽花っていいですよね」
「…っえ、あ、すてきです、ね…」
「あ、ごめんなさい…中、どうぞ」
口下手な自分を心底憎んだ。
なんでうまく返事できなかったんだろ、もっとうまい言い方あったはずなのに。
あんなに本読んでて、語彙力ないってどうしようも無い。
気を遣わせてしまった…
典型的なコミュ障のわたしは、1人反省会。
どうぞって柔らかい表情でドアを開けてくれている彼に申し訳ない気持ちいっぱいになりながら、中に入らせてもらった。
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Chapi(プロフ) - ふーさん» ふー様 お返事が大変遅くなり申し訳ございません！素敵なご感想をくださり、ありがとうございます。私自身慌ただしい日々の中で心落ち着かせる時間って大切だなと思うので、届いてくださって嬉しいです。ゆったりではありますがこれからもよろしくお願いいたします！ (2022年12月11日 21時) (
レス) @page39 id: bb7ad5c321 (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - 更新ありがとうございます！このお話読んでいると私の時間までゆっくり流れるような気がして、世界が少し優しくなります。ありがとうございます！次の更新も楽しみにしています^^ (2022年10月24日 19時) (レス) @page38 id: aa1a944516 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chapi | 作成日時：2020年9月14日 23時
