【RKRN】オレンジ［久々知兵助］ (ページ10)

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グスッ、と目が真っ赤になりながら鼻水をすする。

兵助君の思ったよりも大きな掌を握って、静かに道を歩いた。

こんなとこ、竹谷に見られたらなんて言うか。

今はそんな話じゃなかった。＿寂しかったのだ。多分…

学校に着くと彼はコートを私に羽織らせた。

「歩いて体育館に来て。多分陸上部もそこにいる。先に俺が説明しておくから。じゃ、また後で。」

タッタと駆けて行く兵助君に唯々申し訳なさを感じた。

私も、ゆっくり体育館の扉を開ける。

「翡翠、どうしたんだ大丈夫か！？風邪引くぞ、ほらタオル。」

「わっ、鉢屋アンタ急に何するのよ！！」
必死にタオルでわしゃわしゃと頭を拭いてくる。

さりげなく気を遣って接してくれている鉢屋の優しさが心に染みるが、鉢屋の顔には気まずそうな雰囲気が漂っていた。

雷蔵くんが私の元まで来て水を持ってきてくれた。

ガシャン！！

複数のモップが激しく倒れる音がした。思わずビクッ、と肩が上がらせながら振り向いた。
「八左ヱ門落ち着け！！モップが割れたりしたらどうするんだ？…翡翠が怖がってるじゃないか。」

スッ、と兵助くんと雷蔵くんが私より前に立ってくれた。

二、三回瞬きを繰り返した。信じられなかったのだ。

雰囲気が違う。…私が好きだった、彼の姿とは…
「…おい翡翠。」
ガタッ、とこっちへ向かってくる竹谷の迫力に、思わず後ずさりをした。鉢屋が目の前に飛び出した。

「…八左ヱ門…何でそんなに怒ってるんだ？翡翠が怖がってるって…落ち着けって、言っただろ。」
「八左ヱ門、どうかしたのか。」
チラッと不安そうに兵助くんが私に目をやる。

みんなに任せてばかりじゃダメだ。…なんで竹谷が怒ってるの？

「何、私何かした？兵助くんも鉢屋も悪くなんかないじゃない！どうしてそんな、怒ってるの…どうして？」

不意に視界が歪む。肩には竹谷の手があった。

「＿＿＿なんで俺に病気が悪化したの秘密にしてたんだよ！！」