27 コスチューム其の二 ページ28
微かに殺気のこもった重い空気が漂う。
主に殺気は芥川からで先頭を早足で歩き続ける。
敦はそんな芥川を睨みながら5mは離れて歩いていた。
喧嘩はAにより封じられているが、まさに一触即発な状態だ。
暫くその状態が続き、芥川が立ち止まる事でその空気は終わった。
それに合わせ敦も離れたまま立ち止まる。
「…此処か」
芥川は確認するように扉を見ると迷いなく入っていく。
敦のことは見もしない。当たり前だが。
敦はパタンと閉まった扉を離れたまま数秒見つめる。
ぎゅっとジェラルミンケースを抱き締め直してそっと近づいた。
扉に貼られたプレートに「男子更衣室」と彫られている。
「(…よし)」
何処と無く再び緊張しながらそっと扉を開けた。
直ぐに見えるのは扉を覆っているカーテン。
楽しそうな笑い声が聞こえる。
敦はカーテンを手で制しながら中に入った。
ズラリと並ぶロッカー、その中の端にある自分のもの。
主席番号順らしいが芥川は敦の対称の位置にある、これもAがしてくれたらしい。
何から何まで分かってるな、と敦は苦笑した。
そして二人共自分のケースを見下ろす。
どんなものか想像もつかない、Aがどんなセンスかは知らないからだ。
「あ、それ君のコスチューム？」
敦は声を掛けられて顔を上げた。
くしゃっとした緑の髪に温和な雰囲気を纏う彼は確か緑谷と言ったはずだ。
「あ、うん」
顔を上げて初めて気づく、自分と芥川の周りに人集りが出来ている事を。
案の定芥川は盛大に顔を顰め、周りを睨みつける。
「邪魔だ、散れ」
だがそんな言葉は誰にも届かず、届いたとしても従わない。
興味津々で二人を見つめる男子達。
「(何か凄い注目されてる…)」
あまりの勢いに敦はそっと視線を下にもどし、温和な雰囲気を纏う安全そうな緑谷に顔を向ける。
が、
「君の個性は虎になるの？虎の力は強いし、足も早いし強固性だ。きっと近距離戦闘系。前のを見る限り個性を使うと手足が虎化して服は破れてた、ならコスチュームは手足の部分は無くしたりして、否、伸縮素材にして…芥川君のはコートが動いてた、犬みたいな形になったりして中島君と戦ってる時はそれが傷を付けてたからコートは刃物みたいになる、コートは遠くまで伸びるみたいだから遠距離から援護…」
「ひえ」
何かを高速で呟く彼に思わず敦は引き攣った声を上げたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 441人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜(プロフ) - 続きが速く読みたいです。 (2020年8月21日 16時) (
レス) id: f12f1a44ac (このIDを非表示/違反報告)
Ainyami(プロフ) - 鶴来 アリスさん» コメントありがとうございます。私も少ないかなぁ、なんて思いつつ書いてしまったので申し訳ないです。必要だったら書き換えます。どのくらいか、コメントして頂けると助かります。失礼しました。 (2019年10月30日 6時) (レス) id: af6958aa41 (このIDを非表示/違反報告)
鶴来 アリス(プロフ) - すみません、夢主って前世は成人してたんですよね？だとしたら預けてたお金2000万じゃ少ない気が…。いや私も相場が分からないのでどれくらいとか言えないんですけど…。。。 (2019年10月29日 15時) (レス) id: aa3614dbb5 (このIDを非表示/違反報告)
Ainyami(プロフ) - ヘルプからお問い合わせにいってもらって、アップロードについてから出来ると思います。試してみてください。描いてもらったので、できれば見たいという私の想いがあるのでお願いします。 (2019年8月20日 14時) (レス) id: c6187a3341 (このIDを非表示/違反報告)
酸素無駄遣い装置 - Ainyamiさん» すみません、イラストは出来上がっているのですが、イラログに投稿できなくて……URL化出来ないんです。ログインしないとこれ以上は投稿できないらしいです。すみません。 (2019年8月20日 12時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ainyami | 作成日時：2019年5月13日 20時
