君の1 ページ4
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『…あ』
周囲を見渡す人物を見てぴたりと動きを止める。
いつものように駆け寄ろうとした私は、彼が手に持っている大量の紙袋を見て足を止めてしまった。
なんて量だ、一体何人分あるのだろう。
先程からきょろきょろと誰かを探すような様子の彼を見て、思わず回れ右をして角に隠れてしまった。
しかもそれだけでなく、息も潜めてひっそりとである。
隠れる必要なんてないだろうにどうして。
いつものように話しかければ良い、そう思う気持ちとは裏腹に私の足は一向に動かなかった。
『…あれ全部、バレンタインのお返しなのかな』
ちくりと胸にトゲが突き刺さるような感覚がする。
1ヶ月前、一体何人にバレンタインの贈り物を貰っていたのだろうか。
渡すだけで満足していた自分を情けなく思った。
私が渡したのは特に目立つような物でもない、手作りではあったが何の変哲もないただのチョコレートである。
今更ながら、ひと月前の自分を恨んだ。
胸がずきずきと痛む。
義理でも本命でも、私が口を出すような事ではないしそんな権限は私には無い。
分かっていてもこんなに悶々と考えてしまうなんて、と肩を落とした。
『……戻ろう』
「…やっと見つけた。そんな所に座ってどうしたんだ」
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m__rr(プロフ) - お返事ありがとうございます( ´ω`*)! もしよろしければ、宿儺で書いていただきたいです..! (2021年3月16日 13時) (レス) id: 87fa9eda41 (このIDを非表示/違反報告)
花央(プロフ) - m__rrさん» わー!ありがとうございます…!勿論大丈夫です…! (2021年3月15日 11時) (レス) id: 2b70089d86 (このIDを非表示/違反報告)
m__rr(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝見しています(_ _*)) 突然ですが、キャラリクエストよろしいでしょうか…? (2021年3月14日 23時) (レス) id: cbad7118e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花央 | 作成日時:2021年3月6日 21時