苦手意識 ut ページ4
女が苦手だ、なんて言ったら鼻で笑うだろうか、何嘘ついてんねんとか、アイツらなら言うやろな
勿論身体を重ねる事は気持ち良いから好きだ、女を友達として見ろ、なんて言われても無理に決まっている、所詮女との関係は一夜限りのものなのだ、コイツ以外の女は
｢鬱、また残業？ 今日飲みに行こって約束したよな？｣
定時になりぞろぞろと皆が帰って行く中俺は同僚で幼稚園からの付き合いの幼馴染みであるAに説教じみたものをされている、高校大学と違うものの同じ会社だと知った時は驚く他無かった、元気にしてんのかなぁとか考えている矢先に再会したのだから
｢ちゃうんすよ先輩！ まぁ、ね？ 一旦落ち着こ、な？｣
｢ようそんな事言えるな｣
そんな男勝りな口調に圧倒されつつもファイルを俺から半分取って手伝ってくれるAは昔から優しかった
初めて好きな人が出来た時、勇気を出して告白して見事撃沈、その時に皆から揶揄われた時から女に苦手意識を持つようになった、恋愛なんて本気になると傷つくだけだ、とまだ齢14として気付かされたものだった、皆から揶揄われているのを止めたのは何者でもないAだったのだ
いい幼馴染を持ったと今でも思っている
｢終わった！ 鬱は、終わったんか？｣
｢え、あ…その…ね…｣
思い切り伸びをしながら尋ねるAに自分の残っている資料を見てつい吃ってしまう
｢何や全然進んでないやん また女絡み？ ほら早く終わらせて聞いたるやん｣
形の良い眉を下げて優しい言葉を吐くコイツに思わず頬が緩む、本当にお人好しというか
｢終わったで待っててくれて有難うな｣
出来る限り速いスピードで残りの資料を終わらせて待っていてくれた彼女に声を掛ける、すると嬉しそうに頬を緩めて急かす様にして俺の車へと連れて行かれた、どんだけ飲みたいねん
｢んで、今回の女は何や｣
居酒屋に入り酒とつまみが出てくるなり生ビールを一気に飲み干して尋ねてくる、カシスオレンジとか可愛いもん頼めんのか、何て今更である
｢何か一夜限りや言うてんのにめっちゃしつこくてさー｣
｢はは、ぐうくず｣
｢やかましいわ｣
こちらもビールを飲み干して溜め息を付く
｢あーそこら辺にいい女転がっとらんかな｣
そんな独り言を呟くと彼女はむくりと顔を上げて俺を見詰めた
｢私にしたらええやん｣
突如彼女の口から出た言葉に思わず彼女を二度見する
綺麗な顔は真剣な表情をしていて心臓が高鳴る
たまに女になるコイツはやっぱ苦手や
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作者名：もぶ汰 | 作成日時：2018年7月18日 5時
