奏 −YG− 第二章

＊　(YG) ページ11

何度『ごめん』と謝っても無反応でイライラはMAXに…



「出て来いって！」



イライラに任せて布団をはがすとにやけ顔のAさんが姿を現した


どうしてにやけてんだ？


あえて睨みを利かせる



「さっきの『分かりました』って何なの？」


A「まさかユンギさんって実は韓国語が全く分からないとかなんですか？」



そんなあり得ない事を真顔で聞かれても困る



「そんなはずないだろ！？
俺たちはずっと間違いなく韓国語で会話してたし！」


A「あぁ…確かにそうですよね」



納得している場合かよ…
この人は大丈夫か？



A「それなら『分かりました』の意味くらい分かりますよね？」


「当たり前だし！」


A「だったらさっきの『分かりました』と言う言葉の解説は不要のはずです」



勝ち誇ったようなAさんを見ていて思った


この人とは平穏な日々を送れる気がしない
一緒に居たら常にイライラしドキドキな毎日なのではないか？と


それでも俺はAさんが欲しい
気付いていなかっただけで俺は相当な変わり者だったのだろう



A「じゃあ寝ますね？」



Aさんは再び布団にくるまった


このままだときっと何も始まらない…
俺たちはきっとこんな事を繰り返しいずれ離れる…


そう確信した俺は芋虫の様なAさんに跨ってみたんだ


それにしても我ながら随分な強硬策に打って出たものだ



A「何してるんですか！？
重いです！」



Aさんは顏だけを出して叫んだ



「このまま何も始まらなくてもいいの？」


A「え？」


「お互いを好きだと分かってそれで終わり？」


A「何言ってるんですか？
願い事を叶えてくれないと言ったのはユンギさんですよ？」



確かにそうだ…
でもそれは『俺の事が嫌い？』って質問に何も答えてくれなかったから…



「答えて！」


A「何をですか！？」


「俺の事を好きなのかどうかだよ！
さっき答えてくれなかった！」


A「答える隙を与えなかったのはユンギさんです！
勝手に自己解決してたじゃないですか！」



確かにそうだ
せっかちだからつい…



「その点に関しては謝るよ
だから今答えて？」



ジョッキー状態で聞く事じゃないけど解放したらAさんの事だから何をしでかすか分からない
だからこのまま答えてもらう



A「大好きだからあんな願い事したに決まってます！
それくらい察してください！」



やっとだ
やっと引き出せた…

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