night 22 ページ29
A「…あ、」
涼介は何も言わずに私の腕を引いてずんずん進んでいく。
舞台裏の奥に、小さなホワイトボードが置いてあるのが見えた。
彼はそれをガラガラと引っ張って、つい立てみたいに私の前にそれを置いた
涼「ごめん、時間ないから急げる?」
A「あ、うん…!」
彼が私に背を向けたその隙に、ホワイトボードと壁の隙間、ちょうど死角になったその場所で、急いで着替える。
でも焦って、最後の背中のファスナーが上手く上がらない。
手間取っていたら、いつの間にか振り返っていた涼介が、私の手を取ってファスナーを上げた。
涼「綺麗だよ、いい感じじゃん」
A「…ありがとう…」
涼介、
涼「あと少しだから、頑張れ」
A「うん…!」
今、私が戸惑ってるのに気付いて、来てくれた…?
涼「ここ、布余ってるね、衣装さん呼んでくるわ」
A「あ、お願い…」
ウエストの辺りに寄った布をつまんで、涼介は慌ただしくその場を去ってしまった。
…いつだってそうなんだ。
私の考えていることは、彼には全て、見透かされてしまう。
じゃぁ、私の胸が今、とっても苦しいってことにも、
気付いてくれてる…?
.
慧「あ、お花かわいい。本物?」
準備が済んで舞台袖に行ったら、先にスタンバイしていた伊野尾さんが私の髪の毛につけた生花を触って笑った。
私がさっき、一生懸命ワイヤーをつけたやつ。
A「そうです。これとお揃い」
伊野尾さんの胸元に飾ってある花を指差してそう答えた。生成りのカジュアルなセットアップによく合うモスグリーン。
慧「なんかこの格好さぁ、」
私のドレスも伊野尾さんとお揃いの生成りの生地に、アンティークレースが施されていた。頭につけた生花はモスグリーンとオフホワイト。
慧「結婚式みたいだよね」
A「ちょっとそれ、思いました」
慧「ね」
もうすっかり緊張は解けた。
慧「受け取ってもらえるかなぁ、俺の気持ち」
伊野尾さんが、ポケットに入っている小道具の小さい箱を取り出してふざけるから、思わず笑ってしまった。
A「どうでしょうね、」
慧「え、考え中かよ、ステージで振られたくねぇ」
「伊野尾さん相澤さんお願いします!」
.
2人でくすくす笑いながら手を繋いで、舞台袖にスタンバイした。
後から考えたら、私はこの時ほんの少し、気が緩んでいたのだと思う。
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Strawberry ryosu(プロフ) - このお話、大好きです!感情移入がしやすくて、切なくてほろ苦くて、でもキュンキュンしてますwお持ち帰りされちゃった主人公どーなっちゃうのーー!!ってなってますw更新頑張ってください♪ (2017年7月11日 18時) (レス) id: 9f7e0ffcfe (このIDを非表示/違反報告)
pakupakung7(プロフ) - あ〜〜〜〜〜気になりすぎます……(;;) (2017年7月9日 21時) (レス) id: d75980322b (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - 24話文字化けしてますよ!この作品大好きです! (2017年7月2日 23時) (レス) id: dbc0366c84 (このIDを非表示/違反報告)
りすねずみ(プロフ) - どうも、ナイトをクルージングなう。のりすねずみです。(?!)ちゃみさん!新作も本当に素敵!!更新楽しみにしてます!頑張ってください(^^) (2017年6月26日 17時) (レス) id: 4bba5de416 (このIDを非表示/違反報告)
まな - ちゃみさん!Twitterでスローモーションの感想をめっちゃ言ったまなです!覚えてますか?Twitterやめてしまってちゃみさんと関わらなくなってしまったんですけど、またこうやって関われてうれしいです!ちゃみさんの作品ずっと待ってました!次の更新も頑張って下さい! (2017年6月17日 17時) (レス) id: e22c665bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年5月29日 23時