#45 ページ46
「けっこう遅くまでかかるんだね、仕事」
A「…何の用ですか？」
「立ち話もなんだから入れてもらえる？」
A「無理、です」
心臓がばくばくしてる。まだ向き合って話をするには早過ぎたんだ。拒絶反応が全身を駆け巡っている。
やっぱり慧くんのこと待ってれば良かった？いっそ宿に泊まっちゃえば良かった？
「いやいや、散々待たせといてそれはないでしょ」
彼が笑いながら一歩近付いてきた。反射的に二歩下がった。それを見て彼はち、と舌打ちをした。
「なんだよそれ、人をバケモンみたいにさ」
違うの？今の私には、あなたは人の心を無くしてしまったようにしか見えないんだけど。
A「早く帰って」
「………、」
A「もう二度と会いたくない、」
じわ、と再び視界が滲む。何の涙なのか自分でもよく分からない。彼はそれを都合良く解釈したのか、満足気に笑いながら言った。
「お前にとってはいい知らせだよ。子ども駄目になった」
…！
A「…は…？」
耳を疑った。
この人、笑いながら何を言ってるんだ？
「だから、駄目になったんだよ。初期の流産ってやつ？で、後遺症でどうやらもう子どもはもう無理そうだって話で。
俺、絶対欲しいんだよね、子ども。
いろいろ考えたんだけどさ、やっぱりお前戻って来ない？今までのことは謝るからさ」
指先が震え出した。怒りで震えるなんて初めてだ。頭にかぁっと血がのぼった。最低。
思わず手を振り上げた。人って怒りが頂点に達すると、反射的にビンタの準備体制に入るんだなって初めて知った。
振り上げた手があと少しで彼の頬に届きそうな、その時だった。
A「え？」
ぱし、と後ろから手を掴まれた。
振り返ったらその人は、すぐに私と彼の間に入り、何が何だか分からないうちにごつ、と重めの音がした。瞬間、目の前の最低な彼が後ろにひっくり返った。
.
A「慧くん…？」
握った拳を見つめながら、慧くんがしみじみと呟いた。
慧「初めて人を殴ったなぁ」
「いって…クソ…！」
ゆっくり立ち上がった彼が、ギロリと慧くんを睨んだ。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです！ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています！ (2022年1月3日 0時) (
レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2021年5月1日 15時
