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#44 ページ45

だけどその日、ラウンジを閉める時間になっても慧くんは戻って来なかった。

さすがにそろそろ日付も超えそうだ。慧くん、お仕事のトラブルみたいだったけど大丈夫かな…連絡してみようか迷ったけど、邪魔をしたら申し訳ないなと思ってしなかった。

一度、そーっと外の様子を覗いてみたけれど、人影は見えず真っ暗で静かだった。そもそも住宅街だから、時間をつぶせるような場所もないんだよなぁ。

慧くんちまでここから歩いて5分。
走ったら2、3分とか?

静まり返った外の様子を見ていたら、なんだか少し冷静になってきた。
やっぱり何の関係もない慧くんを巻き込むのは嫌だった。流れで過去のことを知られてしまうのはもっと嫌だ。

もしあの人が路地裏で待ち構えていたところで、気の小さい人だったから、危害を加える系のことはない気がする。せいぜい金貸してとかそんなところじゃない?
最大の問題は、彼がまだ、そうやって言い寄れば私が応えてくれると思っていること。

もうそうじゃない、金輪際会うことはないということを、私の口から伝えなければ。
何より、やっと見つけた私の居場所だ。自分の力で守らなければ。


A「よし、」


自分を奮い立たせてそーっと宿を出た。後になって思ったのは、この時私は、あの頃とは違う自分になれたんだっていう実感が欲しかったのかもしれないってこと。そして、自分の心が受けた傷の深さがどれほどのものかを全然分かっていなかった。



.





小走りで夜の路地を駆け抜けていく。
拍子抜けするくらい誰もいない。
なんだ、良かった。わざわざ顔見に来て何を言われるのかと思ったけど、待ちくたびれて諦めがついたのかな。後半はもう安心して、歩く速度を緩めてしまった。




.



だけど家の門が見えてきた頃、その前に人影が見えてはっとした。

それは慧くんでも松兄さんでもなくて。
嫌な予感よ当たらないで、と願ったけど、神様って無情だ。





「おかえり」

A「…!」




気をしっかり持て、私。
ぎゅっと拳を握りしめる。追い払えばいい、こんなやつ。そう思うのに、見た瞬間眩暈がして、うまく酸素が吸えなくなった。



なんでなんだろう。なんで家まで知ってるの?

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです!ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています! (2022年1月3日 0時) (レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃみ | 作成日時:2021年5月1日 15時

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