#38 ページ39
A「微妙に重いよ〜！顎乗せ場に使うな〜」
慧「Aちゃん何センチ？ちっちゃいんだね」
A「内緒。ちょっと気にしてるんだから言わないで」
慧「えぇ、何で？かわいいじゃん！」
A「あと10センチくらいほしかったな」
彼の胸元が私の背中にぴったりくっついてあたたかい。ぴゅう、ともう一度強めに風が吹いてきたけれど、慧くんがいてくれるおかげでさっきより全然寒くない。
A「ちょうど良い風よけ〜」
慧「ううう。そろそろ車戻ろっか」
A「別にもうちょっといても全然平気だけど」
慧「はい戻ろ〜」
A「うわぁ、押すな」
後ろからお腹でぐいぐい押されて、笑いながら助手席に滑り込んだ。ドアを閉めたら、あ、待って、と慧くんが自販機に走って行った。
慧「どっちにする？」
A「甘いほう」
慧「はい」
ロイヤルミルクティのボトルを受け取る。じんわりとあたたかくて、一口飲んだらほっとした。
本当に気が利くというか慣れているというか。いつもここで夜景を見て、あの自販機で飲み物を買って帰るのがデートの定番コースなの？
慧「よし帰ろ！メシ食ってく？」
A「今日お金使い過ぎたから家で食べない？野菜まだあったよね。鍋にしようよ」
慧「わ！それいい！最高！肉あったっけ」
A「鶏モモ冷凍してるから大丈夫」
慧「やった〜！楽しみ」
無邪気に笑う横顔を見ながら、こればっかりは慧くんの悪い癖ね、と笑っていたいつかの花枝さんを思い出していた。
.
今日一日一緒に過ごしてつくづく思った。
たぶん慧くんは、お出かけの相手が裕翔くんだったとしてもあんな感じでご飯をひとくちもらったり、この場所で一緒に夜景を見たりするんだろうな。
お揃いのコートだって、別に私とお揃いにしたかったわけじゃなくて、ただ単にコートが欲しかったんだろうな。
今みたいに風から守ってくれるようなことは、私だけじゃなくて誰にでもやってるんだろうな。それこそ近所のおばぁちゃんとかにも。
そういう人なんだ。今日一日過ごした中で私にくれた優しさの一つ一つに、下心なんてみじんも入っていない。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです！ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています！ (2022年1月3日 0時) (
レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2021年5月1日 15時
