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A「お父さんまだ帰ってこないの?」
慧「いっつも店閉めてから帰って来るからね。2〜3時くらいになるんじゃん?毎日昼過ぎまで寝てるし、自由人だからあんま気にしないでいいよ」
A「そうなの…?ご挨拶はしたいけど…」
慧「ま、そのうち会えるんじゃない?」
家の主人に断りもせず居候、って普通じゃちょっと考えられないけど、アリなんだ。
慧くんの伸び伸び自由な感じのオーラはきっとお父さん譲りなんだな。
この家の人たちは、わざわざ確認取らなくても、家族の人数が1人増えるくらい全然平気なんだということを、会話の流れでなんとなく理解した。
A「慧くんていくつ?」
慧「26だよ。今年7になる」
A「嘘!2個しか違わないんだ…20歳くらいかと思った」
慧「ふは、よく言われる〜」
これには本当に驚いたので、思わず慧くんの顔をまじまじと見つめてしまった。
なんだ。てっきり大学生くらいだと思っていたからそういう対象から外していたのに、2個下なのかと思ったら変に意識してしまうな。
慧くんは、白い薄手のニットを萌え袖みたいにしてテーブルに頬杖をついた。
慧「Aちゃんこそ。俺てっきり歳下かと思っちゃったよ。お姉さんだったのね」
A「ひぇー!いいよそういうのは」
慧「なんで。本当にそう思ったのに」
むぅ、と不満そうに唇を尖らせたその顔は、そこら辺の女子よりよっぽど可愛かった。
.
お腹がいっぱいになったら急に眠気が襲ってきた。
明日から仕事も始まるし、無理せず早めに寝ることにして、
シャワーを借りて、すぐ布団に横になった。
お布団はふかふかでおひさまの匂いがした。ぱりっとしたシーツの感じもとても心地良くて、私はすぐあたたかい眠気に包まれた。
眠りに落ちる瞬間、ここはどこだろう?とふと思った。
この前まで都心のマンションのキングサイズのベッドで寝ていたのに、気付いたら家がなくなり、友達の家のソファやいろんな場所を転々として、
やっと辿り着いた私だけの部屋は、見知らぬ男の子の家の中にあった。
なんだかそれってすごいことだなぁ。
最近私の身の上に起こっているいろいろなことを、その時初めてちょっとおもしろい、と思えた。
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その夜は本当に久しぶりに、何もかもを忘れてぐっすりと眠ることができた。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです!ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています! (2022年1月3日 0時) (レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2021年5月1日 15時