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「ねぇ、話があるんだ。時間取れない?」
A「困ります…、勤務中なので」
絞り出すように小さくそう言うのが精一杯で、目も合わせられない。
慧くんがこっちを心配そうに見ている。
あぁ嫌だ、知られたくない、私の過去なんて。
「じゃぁ待ってるね」
かつて大好きだったはずのその笑顔を、見ているだけで冷たい汗が背中を流れてぞわぞわした。
彼はにこりと笑うとすぐにラウンジを出ていった。
.
A「はぁ、」
分からない。何で今更?っていうかどうしてここがわかったんだろう。私が東京を離れてここにいることは、本当に親しい友達と実家くらいにしか伝えていないのに。
全身の血の気がさっと引いてしまって、心臓はばくばく鳴って、指先が震えてる。いけない、仕事中なのに。バッグからペットボトルの水を出して一口飲んだ。
慧「大丈夫?」
はっと顔を上げたら、慧くんが心配そうにこちらを覗き込んでいた。
A「うん、大丈夫。ちょっとクラクラした。貧血?」
笑おうとしたのに全然うまく笑えない。あろうことか慧くんの顔を見たらほっとして、今にも泣いてしまいそうになった。
慧「顔色わっる…!あいつ誰?」
ズキンと胸が鳴る。やっぱり気になるよね。でも言えない。言いたくない。
A「分かんない…知らない人」
慧「嘘、だって、」
その時、慧くんのスマホがピリリと鳴った。
慧「うわ、何で今だよ」
画面を見て顔をしかめた慧くんが、ごめん、職場からだ、ってラウンジを出ていった。
.
慧「ごめん、会社戻るわ」
裕翔「何かトラブル?」
慧「後輩が発注ミスしたって半泣きで電話してきた。一桁間違って多く頼んだとかなんとか」
裕翔「うわ、悲惨」
慧「もー何で今なんだよ〜、またね」
荷物をさっとまとめると、すぐにカウンターまで来てくれた。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです!ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています! (2022年1月3日 0時) (レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2021年5月1日 15時