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高校生の頃の私は、たぶん他の女の子が慧くんに向けるこういう感じを、受け入れることが出来なかっただろうなと思う。


あの頃の私は彼のことを、アイドルじゃなかったとしてもきっと好きになっていた、って自信があった。


私しか知らない慧くん、私にしか見せない表情、声…たくさんたくさん見てきたから。






でも、じゃぁ、




『アイドルとしての彼』のことは、どれくらい知っていただろう…?







.







複雑なフォーメーションをなんでもないように踊り、ステージの上を縦横無尽に動いていく彼ら

僅かな隙間を縫うような動きでも、その視線は客席を向いたままで。


個々が信頼し合っていなければ、そしてたくさんの時間をかけなければ、到底なし得ないことだと思った。





ここに立つまで、どれほどの時間を費やしてきたのだろう。
きっと、今彼らの持っている時間のほとんど全てが費やされて、アイドルの彼らが作られているんだ。







.







じわじわと視界がぼやけて、頰を熱いものが伝っていった。







…私、この慧くんを知らないで、彼の何を知った気になっていたんだろうな。

オフの彼も、そして今のアイドルとしての彼も、
どっちも紛れもなく慧くんなのに、

彼がアイドルとかアイドルじゃないとか、そういうこと関係なく好きになったはずだったのに、

いつのまにか彼の職業にこだわって、自分との間に線を引いて向き合わなかったのは、私の方だ。






.





詩織「大丈夫…?」



私の涙に気付いた詩織が声をかけてくれた。反対側から唯香の手が伸びて、私の背中をさすってくれる。

慌てて涙を拭って笑った。




しっかり、この目で見ておかなくちゃ。
慧くんが、彼らがたくさんのエネルギーを割いて作り上げたこのステージを





…もう、最初で最後かもしれないから。







顔を上げて、ペンライトを握り直して。





どの瞬間も忘れないように、この目に焼き付けておこうと思った。

* Candle→←*



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 増田貴久   
作品ジャンル:恋愛
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いく(プロフ) - 完結おめでとうございます。2人のお話が大好きです。もう一度出会えてここまでこれたのもとっても嬉しいです!! (2019年9月5日 16時) (レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
みーな(プロフ) - 終わってしまった!大好きな2人のお話だったので嬉しさと淋しさでいっぱいです。素敵なお話を共有させていただいてありがとうございました!また、この2人にも新しいお話にも、近い内お会いできる事を楽しみにしてます!最高でした!! (2019年9月5日 11時) (レス) id: 0f82e6a95a (このIDを非表示/違反報告)
Minami(プロフ) - こんなにも素晴らしいお話を書いてくださりありがとうございます!大好きです。ぜひ続編書いて欲しいです! (2019年9月5日 10時) (レス) id: 2aa9c6ae3e (このIDを非表示/違反報告)
侑和姫(プロフ) - 終わって欲しくないです!未来の話とかたくさん書いて欲しいです! (2019年8月27日 17時) (レス) id: c8a348212a (このIDを非表示/違反報告)
ちょん(プロフ) - 2人の子供の話とかずっとこのお話読んでいたいです! (2019年8月19日 7時) (レス) id: ddb27fd106 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年4月9日 23時

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