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慧「よく来るの?光のライブ」
A「ん?」
薄暗いライブハウスの中、壁にもたれてドリンクを傾けていた慧の声は、ざわめきの中に吸い込まれた。透明の瓶に入ったどこかの国の薄い色のビールが、彼の手の中でゆらりと揺れた。
さっきまでガールズバンドが演奏をしていたステージの上では、もう既に次のバンドの演奏に向けての準備がバタバタと始まっている。
慧はもう一度耳元で「ライブ、よく来るのかなぁって、」と囁く。ほんの少し彼の前髪がこめかみの辺りに触れた気がして、そっち側の頰が熱くなる。
A「はじめてだよ」
慧「ほぇ、そーなんだ」
その時、突然ステージの方からキャー!と女の子の歓声が聞こえて、
まるでそれが合図かのように、人の波がステージに向かってわぁっと動いた。
慧「お、なんだぁ」
見ると、次のバンドのメンバーがちょうどステージに出てきたところ。
すごい人気だなぁなんて、どこか他人事みたいにぼんやり眺めていた時、
A「…!」
最後に出てきたメンバーに、一際大きな歓声が起こった。
慧「げー!超人気じゃん光!」
横で慧が楽しそうに笑う。
ステージの上で、いつもは掛けていない眼鏡を掛けた光は、いつものヘラヘラしてる彼とは別人みたいに見えた。
慧「どーする?前行く?」
A「ここで大丈夫…!」
慧「そ?」
A「慧、行ってきていいよ」
慧「いーよ、俺もここで。前見てよ、ほぼ女子」
うわぁ、本当だ…!
だけど、彼らが音を合わせている間にも、男女問わずどんどん人が集まってきて、
もう背伸びしないとステージの上が見えないくらいになってしまった。
やがて、会場が暗転____、
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ズン、と重低音がフロアに響き渡った瞬間、
大歓声と共に、会場が揺れた。
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夜神月風火 - いつも楽しみに読んでます。ちゃみさんがだいすきなので、更新されるたびにうれしく思います!無理なさらず頑張ってください! (2019年8月15日 15時) (レス) id: d7aa5f874c (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - Twitterで2つ連載されると聞いてわくわくしながら待ってました!いつもちゃみさんの新作を見るとどんな伊野尾くんでも本当にきゅんきゅんするんです!2つ同時に連載されるのは大変かと思いますが、無理なさらないでくださいね!ずっと待ってます! (2019年4月5日 1時) (レス) id: 06987761d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年3月22日 0時