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あまり、隣にいる彼のことは気にしないように。
そう言い聞かせながら手元に集中していたら、いつのまにか没頭していた。
A「いてて…」
ふと首のあたりが鈍く痛んで、思わず首を回したら、
慧「んー…」
突っ伏して見えなかった寝顔が、ころん、とこちらに向けられて、
まだまだすやすやと深い眠りの音が聞こえてきた。
A「……。」
思わずその寝顔をじぃっと見つめる。
伏せられた睫毛は意外と長くて、
女の子みたいに白くて柔らかそうな質感の肌。
本当にめちゃくちゃ寝ている。
肘と肘がぶつかりそうな距離。
なんだか羨ましいとすら思った。
いいなぁ。
私もこんな風に、誰とでも壁を作らずに過ごせたらいいのに。
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その時、コンコン、とアトリエのドアがノックされる音。
A「はーい、あ、」
光「やっぱここか」
A「なんだ、光か」
光「お前なっ!毎回残念そうな顔すんのやめとけ…ってあれ、」
いつもみたいにベースを肩から下げてアトリエに入ってきた光は、私の隣でスヤスヤしている彼に視線を向けた。
光「…いのちゃんもいるし。」
慧「…んぁ?光ぅ?」
光「何してんの」
慧「えーと…昼寝」
光「自由か!」
くすくすと肩を揺らして、ベースの入ったケースを大事そうに置いた。
A「もう風邪治ったの?」
光「それな!もう全快なり!マジごめんね、花見」
A「ホントだよ!大変だったんだから、酔っ払いに絡まれたりとか」
光「げ、マジで」
慧「そーそー。そこに俺が颯爽と登場して追い払ってやったんだよ、お前ら気安く絡んでんじゃねーぞ!って、ねぇA?」
A「えーっと…うん…だいたいそんな感じ…」
光「いやいや絶対何かが事実と違ってるだろお前ら」
慧が、ひっでぇ光!信じろよってケラケラ笑う。
いつもは静かなアトリエが、あっという間に賑やかになる。
わちゃわちゃとじゃれ合う二人を見つめながら、不意に呼ばれた自分の名前にまだ慣れなくて、こっそりきゅんと苦しくなった。
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夜神月風火 - いつも楽しみに読んでます。ちゃみさんがだいすきなので、更新されるたびにうれしく思います!無理なさらず頑張ってください! (2019年8月15日 15時) (レス) id: d7aa5f874c (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - Twitterで2つ連載されると聞いてわくわくしながら待ってました!いつもちゃみさんの新作を見るとどんな伊野尾くんでも本当にきゅんきゅんするんです!2つ同時に連載されるのは大変かと思いますが、無理なさらないでくださいね!ずっと待ってます! (2019年4月5日 1時) (レス) id: 06987761d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年3月22日 0時