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#22 ページ24

慧「へぇ〜!こないだ見たやつとだいぶ雰囲気違う」



慧は、アトリエの机に置かれた作りかけの作品を、まんまるに見開いた目でまじまじと見つめた。



慧「綺麗…なんか春っぽい」


A「ふふ、光にも言われた」


慧「げ、まじ?かぶった〜」



そう言ってけらけらと笑って、ボトルに半分くらい残っていた水をあっという間に飲み干す。



A「まぁ作品って呼べるほどのものじゃないけどね…ただの趣味」


慧「そうなんだ、課題とかじゃなくて?」


A「…うん」


慧「ふーん…」





彼はそれっきり黙り込んだ。
口元に手を当てて、視線は再び、私の作品へ。




不意に訪れた沈黙にどぎまぎする。



ちょっと変な人だって思われちゃったかな…
瞬時に嫌な感じの不安が胸いっぱいに広がった。



けど、



しばらくの沈黙を、彼のふわりと柔らかい笑みが破った。





慧「なんかいいね。大事だよねそういうことって」


A「ん…?」



空になったボトルを、彼の綺麗な手が放る。
いつかのいちごミルクのパックみたいに、それは放物線を描いてゴミ箱にすとんと落ちた。


慧は、まだ少しドキドキしている私の隣にパイプ椅子を引いて、ぎし、と座った。




慧「や、なんか俺最近そーゆーこと忘れてたっていうか」



そのまま、んーって大きな伸びをして、ふわ、と欠伸をして、目を擦る。



慧「つまんねー課題とか練習曲ばっか繰り返してたなーって、反省」


A「…さっきのピアノは、素敵だったよ」


慧「いやぁ、あんなのはオアソビ」


A「じゃぁ私のこれと一緒だ」




私がそう言って作品を指さしたら、
自分の腕を枕にして、そのままウトウトと今にも眠りそうにしていた彼が、ぴくりと眉を動かして、




慧「…そっか、」




それからとても嬉しそうに笑って、目を閉じた。

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 八乙女光   
作品ジャンル:恋愛
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夜神月風火 - いつも楽しみに読んでます。ちゃみさんがだいすきなので、更新されるたびにうれしく思います!無理なさらず頑張ってください! (2019年8月15日 15時) (レス) id: d7aa5f874c (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - Twitterで2つ連載されると聞いてわくわくしながら待ってました!いつもちゃみさんの新作を見るとどんな伊野尾くんでも本当にきゅんきゅんするんです!2つ同時に連載されるのは大変かと思いますが、無理なさらないでくださいね!ずっと待ってます! (2019年4月5日 1時) (レス) id: 06987761d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年3月22日 0時

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