世界で一番、近くて遠い。3・・Kei・・

＊ ページ22

慧「ただいま〜、」


A「おかえり〜」




誰もいない暗い部屋に向かってそう言って、2人で笑いながら靴を脱ぐ。ひと駅歩いたせいでアルコールがいい感じに体に回って、ふわふわととっても楽しい気分。





A「慧〜、」


慧「ん〜？」




玄関から部屋に向かう、短い廊下の途中でくるりと振り返る。大好きな笑顔が私を見下ろしていて、思わず腕を伸ばしてぎゅう、と抱きついた。





慧「ふふ、何〜？」





彼の腕もまた、私の体にくるりと巻きついて、大好きな匂いでいっぱいになった。すぅ、と吸い込んで頰を埋める。ちょっとのアルコールは、普段体に入っていた余計な力をふわりと抜いてくれた。





A「今日、とっても楽しかった。ありがとう」





ぱ、と顔を上げると、嬉しそうに目尻を下げた彼の唇が近付いてくる。




A「ん、」






あっという間にぱくりと塞がれた唇は、一瞬で私をとろけさせてしまう。








.







そのままじりじりと後ろに下がって、気がついたらぽすんとベッドの上に着地していた。






慧「まだだよ…」




耳元で聞こえる囁きにぞくぞくする。絡ませられた指が顔の横に置かれる。








慧「まだ終わんないよ、今日は…、」


A「ひゃ…！」






そのまま耳元に唇がおしあてられて、
くちゅりと水の音がした。


ふわふわとした体は、いつも以上に敏感にその全てを捉えていく。

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