世界で一番、近くて遠い。3・・Kei・・

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慧「あれ、今日って何曜日？」


A「金曜日だよ」




2人して部屋着のTシャツ。足元はサンダル。
駅前のラーメン屋さんまで、手を繋いで歩く。





慧「やった、明日お休み？」


A「うん」


慧「デートしよ、」


A「ふふ、いいよ」





ちっともオシャレじゃないし、色気もないし。
だけどじんわりと込み上げてくる幸福感はなんだろう？





慧「どこ行きたい？」


A「うーん…どこかなぁ…」





なんとなく繋いだ手をぷらぷらさせながら夜空を見上げると、慧もつられたようで視線を上げた。



買い物？はこないだしたし。
テーマパーク？っていう気分でもないな。








慧「東京は、星が全然見えないんだね、」








その時何気なく聞こえてきたつぶやきに、ついドキ、と反応した。









『東京は』、…？






そういえば…、







忘れかけていた少し前の会話が急にフラッシュバックする。






前にスカイツリーを『初めて見た』って言ってたっけ…、






…やっぱり、慧はどこか、…ここではないどこか、遠い所から来たのかな…






A「そうだねぇ…、」







慧がいたところは、星がよく見えたの？







喉元まで出かかったその言葉を、まぁいっかって飲み込んだ。








慧「ねー明日さ、俺に任せてくんない？行くとこ」


A「お任せコース？ふふ、いいよ」


慧「っしゃ、お楽しみにー！」







へら、と笑う彼につられて頰が緩む。
繋いだ手は暖かい。






慧「俺は今日も醤油ラーメンと餃子かな〜、」


A「慧って食べ物のこと考えてる時が1番楽しそう」


慧「なんだと、人を食い意地が張ったやつみたいに」


A「違うの？」


慧「違わない」


A「あはは」





なんとなく怖かったんだ。



彼に、私に会う以前の彼のことを聞いて、


きちんとした答えが返ってこなかったり、はぐらかされたりすることが。

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