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A「慧は食べないの?」
慧「んっ?いーのいーの、Aのやつひとくちもらえれば」
A「慧が食べようって言ったんじゃん」
慧「いらなかった?」
A「…いるけど」
慧「ふふ。座ろ」
ピンクやイエローや、カラフルなビタミンカラーが溢れる店内。
空いていたテーブルの席に向かい合って座る。
手には慧が食べようって言った『三段重ね』のアイス。
A「なんか久しぶりに食べたかも、コレ」
慧「久しぶり?そうなんだ」
なんとなく選んだ3種類の一番上に、プラスチックのスプーンを差し込む。
ミントグリーンのマーブルカラーの中に入ったカラフルなキャンディーが、舌の上でぱちぱちと音を立てて弾ける。
.
しばらくそのまま、側から見たら笑っちゃうくらい真剣にアイスと向き合って、三段に重なったそれが崩れないように慎重にスプーンを差し込んでいった。
慧はそんな私に特に声をかけるでもなく、
時折「ちょっとちょーだい」ってスプーンでアイスをつっついたり、頬杖をついて店内を眺めたりしていた。
.
ふと、1段目を食べ終わる頃に、子どもの頃のことを思い出した。
A「…子どもの頃さ」
慧「ん?」
A「小学生くらいの頃かな?このアイス大好きで」
彼はゆるりと笑いながらスプーンを伸ばして、私の手元からひとくちすくう。
A「近くのショッピングモールにもこのアイス屋さんがあってね、行くたびに食べてたな」
慧「うん」
A「でもね、3段重ねだけは、お母さんが許してくれなくてさ、お腹壊すから!って。
でもどうしても食べてみたくて、一回すっごい泣いたことある」
慧「ふふ、うんうん」
彼はくすりと笑みを浮かべた後、テーブルに頬杖をついて遠くを見るように視線を流した。
慧「あの子ぐらいの時?」
視線の方向には、小学校の低学年くらいの女の子が座っていて。
A「そうそう」
慧「ね」
A「あの時、大人になったら絶対、3段重ねのやつ食べるんだ!って思ってたのに、そういえばすっかり忘れてたなぁ」
慧「そっか」
ふと彼の方を見たら、相変わらず頬杖をつきながら、ニコニコとこちらを見ている。
なんとなくそのリアクションにどこか、違和感があって。
A「…この話前にもしたっけ?」
慧「いや?」
そうだよね。だって、彼に出会ってから二晩しか経っていない。
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雨(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます!できればパスワード教えてください! (2018年7月23日 13時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
涼宮 - とても面白いです!パスワードを教えてくれませんか? (2018年7月21日 21時) (レス) id: 69077a28f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 好きです!伊野尾さんののほほん感がよく描かれていて、リスペクト!尊敬してます。ちゃみさん、これからもゆっくりマイペースで大丈夫ですので、変わらず更新を続けて下さい!ずっと、応援します! (2018年7月18日 20時) (レス) id: 0cc6cf21ff (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - ちゃみさんの描く伊野尾くん大好きです、、!また更新たのしみにしてます!! (2018年7月18日 0時) (レス) id: 6d46aa0005 (このIDを非表示/違反報告)
希都 - ちゃみさん!私、こう言う切ない系のお話大好きなので、楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい! (2018年7月5日 21時) (レス) id: 6465792da0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年6月21日 20時