世界で一番、近くて遠い。・・Kei・・

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「ただ今から30分間、店内商品全品半額でーす！」


久しぶりにやってきた郊外の大型ショッピングモールは、家族連れや若いカップルでごちゃごちゃっと混雑していて、

可愛らしい店員のお姉さんの声があちこちで響いていた。




A「そっか、バーゲンの季節…！」




いつも着ているお気に入りのブランドのお店の前で、思わず足を止める。





慧「見てく？」


A「ちょっとだけ…、いい？」




彼はもちろん、と言わんばかりににっこりと頷いた。






.






A「あ、これかわいい」



シンプルで着回しのききそうなブラウスを手に取って、ちょっと悩む。
グレーかな。モカベージュ？




A「ね、どっちの色が良いと思う？」


慧「えぇ？俺そういうのぜんっぜん分かんねぇなぁ」






言いながら私の手元を覗き込む。




慧「うーん、Aは何着てても可愛いよ？」


A「適当…」


慧「ほんとだって！あ、でも強いて言えば何も着てないAがいちばん、いってぇ！」



ったく、聞く人まちがえた！すぐ調子に乗るんだから！





蹴りを入れられたスネの辺りを抑えながらぶつぶつ言っていた彼は、ふと隣のハンガーにかかっていたブラウスの前で視線を止めた。





慧「あ！ねぇ、コレは？」


A「えぇ、これ？」






ふわりと軽い生地は薄いピンク色。上品な小花柄が散りばめられていて。
可愛いけど…






A「可愛すぎない？」


慧「似合うよ絶対」




そうかなぁ…


買おうとしていたシンプルな方の服と、思わず交互に見つめる。





でも…、こういうの、持ってないから意外とアリかも？






慧「ね、」









顔を上げたら、少し垂れたキラキラした瞳が私を覗き込んでいた。

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