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A「あ、」
歩道から見える、見慣れたアパートの二階のベランダ。
私の部屋は電気がついていなかった。
なんだぁ。やっぱり寝ちゃったのか。
小さくため息をついて、階段を上がる。
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ガチャリ、鍵の音がやたらと響く気がして、起こさないようにそっとドアを開ける。
A「あれ…?」
部屋に入った瞬間に感じた違和感。
真っ暗な部屋の中、いつものソファの上は空っぽだった。
A「慧…?」
その時、なぜか、言い様のない強い不安に襲われた。
もう二度と彼には会えないような、そんな予感。
何をそんな、大袈裟な。
彼だってれっきとした大人なんだから、夜に出歩くことだってあるだろうに。
ばくばくと鳴り始めた心臓の辺りをぎゅっと抑えて、自分にそう言い聞かせるのに、うまくその感情をコントロールできない。
A「…慧、」
ワンルームのアパートの一室に、探すような場所なんてないのに、
A「慧、どこ?」
部屋中を歩き回って彼の名前を呼んだ。
.
戻ってきた玄関に、彼の靴がないことに気が付いて、思わずぺたんと座り込む。
どこに行っちゃったんだろう?
こんな時間に彼が行きそうな場所なんて、ひとつも分からない。
その時、ある事実に気付いた。
私は彼のこと何も知らない。
知っているのは『慧』という名前と、私と同い年だということだけ…
それだって、どこまで信じていいのか、分からない。
例えばある日、慧がこの部屋を出て行っても、私は彼を探す術がないんだ。
そしたらもう二度と会えないの?
A「そんなの嫌だよ…」
掠れ声でやっと呟く。
コントロールできない感情が押し寄せて、視界がじわりと滲む。
…これは、
この気持ちは、何…?
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雨(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます!できればパスワード教えてください! (2018年7月23日 13時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
涼宮 - とても面白いです!パスワードを教えてくれませんか? (2018年7月21日 21時) (レス) id: 69077a28f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 好きです!伊野尾さんののほほん感がよく描かれていて、リスペクト!尊敬してます。ちゃみさん、これからもゆっくりマイペースで大丈夫ですので、変わらず更新を続けて下さい!ずっと、応援します! (2018年7月18日 20時) (レス) id: 0cc6cf21ff (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - ちゃみさんの描く伊野尾くん大好きです、、!また更新たのしみにしてます!! (2018年7月18日 0時) (レス) id: 6d46aa0005 (このIDを非表示/違反報告)
希都 - ちゃみさん!私、こう言う切ない系のお話大好きなので、楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい! (2018年7月5日 21時) (レス) id: 6465792da0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年6月21日 20時