032:新しい未来 ページ33
島買いましたよと言われても
あまりに非現実的で 頭が混乱している。
とにかく 今は今の時間を楽しもう。
無理矢理に切り替えスイッチを押して
今朝 チャンミンの宿舎で作ってきたお弁当を広げた。
義務警察…確かそう言った。
安心した私の表情を見て
チャンミンの方が安心していた。
「義務警察だから余計に気を遣わなきゃいけない」
「…分かった」
「A、勝手に誤解する前に素直に言って」
「…会いたくなったら…どうしよう」
「毎日電話する」
「それでも…チャンミンに触れたくなったら…?」
「僕は毎日Aに触れたいと思うよ」
「でも…」
「2人とも限界を越えたら…ちゃんと無理せず会いましょう」
「…」
「ここを買ったのは…この2年間を乗り越えるためじゃないよ」
「え…」
「2年後から始まる僕たちの新しい未来のためだよ」
はい、あーんして。
タコさんウィンナーを私の口元に運びながら
嬉しそうに笑うから
思わず私も笑顔になった。
「僕が兵役を終えるのは2017年8月18日」
「…うん」
「それまでに…日本でやり残してること全部やってきて」
「え…」
「僕の彼女でいるより、僕の奥さんでいる方が遥かに自由でいられないと思うから」
「おく…え?」
ブランケット持ってくるね。
戸惑う私を砂浜に残して
チャンミンは車の方へ歩いていく。
「今の…プロポーズ…?」
考えているうちに
チャンミンは赤いチェックのブランケットを手に戻ってきた。
「どう、消化した?」
「・・・ま、だ」
「はい、これ掛けて。風が割と冷たいから」
「ありがとう…」
大判のブランケットを風に靡かせて
チャンミンはブランケットごと私を抱きしめた。
首筋に僅かに感じた感触。
胸元に光る小さな石の上
そっとキスをしたチャンミンは
「兵役中の2年間だって僕はずっとAと一緒にいる」
私の耳元でそう囁くと
また嬉しそうに笑った。
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作成日時:2017年3月5日 12時