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014:愚かさ　CM ページ15

「あの日、ｱﾅﾀが私を捨てたの。私はｱﾅﾀを許さない」

僕の中に射した、光。

その言葉はｽﾞｼﾘと僕の心臓めがけて突き刺さる。

「やっと…見せてくれた」
「え…」
「見たかった…Aさん」
「…大人をからかわないで」

僕を攻める冷たい瞳。

今まで一度も見せる事のなかった

Aさんの大人じゃない顔。

「どうして[Re：]を消さないでと言ったの？」
「そんなの忘れたわ」
「じゃ…どうして…さっきのﾒｰﾙに反応したの」
「それは…」
「どうして消しちゃﾀﾞﾒなの」

改めて手を取ろうとしたら

ﾊﾟｼﾘと跳ねのけられた。

「私の言葉を無視されている気がするから」
「無視…？」
「そう、いつ来るかもわからない返事を待っている私を…ｱﾅﾀはいつも無視した」
「…したつもりはないけど」
「そうだとしたら、［ちゃんと届いてるよ]という証が欲しかった」
「それが…［Re:］だったんだ…」
「子供みたいって、馬鹿にしたらいいでしょ」

心の奥の奥がじんわりと

温かくなるなんていつぶりだろう。

「寂しくても、会いたくても、どんな時でも…それは言葉にしちゃいけないって」
「…」
「私は大人だから、きっとﾁｬﾝﾐﾝは私にそういうものを求めてるんだって」
「…」
「だから…っ…だから…どうして私が…っ」
「…」
「傷だらけになったのは私の方なのに…!」
「…」
「私の方がどれだけムカついてたり…嫌いと思ったりしたか…」
「…」
「…っ…大嫌い…っ…本当に大嫌い…」

まるで子供みたいに

ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ涙をこぼして

僕の胸を何度も叩くそんなAさんが

愛しくて仕方なかった。

「私は……っ…別れたくなかった………」
「…」
「何年離れる事になったとしても……恋人でいたかったのに…っ」
「…」
「それなのに……ｱﾅﾀは…最後まで…私を…っ」

「ごめん」

堪え切れず抱きしめたら

伝染した涙が

僕の目からもいっぱい溢れ出した。

「む……無視した……っ…くせに…」
「違うよ」
「ちが…わない…っ」
「本当は…」
「…」
「本当は…あの日…行ったんだ」
「え…」
「個室でじっと待つAさんを…見てられなかった」
「…」
「嫌だったんだ…受け入れられなかった」
「…」
「ｻﾖﾅﾗなんて…できなかった」

Aさんの悲痛な叫び声が

また僕の胸を締め付けて

僕は

改めて自分の愚かさを痛感させられた。