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お腹の方に重みを感じて目を覚ます。
「…?、!!」
胸の下辺りにさとみさんの頭があって、お腹をぎゅっと抱きしめられていた。そんな寝方があるのか。さとみさんには毎朝感心させられる。
「私、抱き枕か何かだと思われてるのかな…」
幸せそうなさとみさんの寝顔を見たら、なんだか何でもよくなってきた。
興味本位でふわふわの髪の毛を動物のように撫でると、心做しか嬉しそうな顔をするさとみさん。
「…かわいい」
気がついたら心の声が口から漏れ出していた。
動かしていた手を止めると、さとみさんはうっすらと目を開けた。
「……ん、もうちょっとやって…?」
手首を握って頭の上まで持っていかれる。
その手の温かさで眠いんだなぁと伝わってくる。
再び優しく撫でると、夢の世界へと旅立って行ったのか寝息を立て始めた。
「……私ももうちょっと寝ようかな」
_____________
2回目の目覚め。ハッとして目を開けると、前のように視界が真っ暗だった。
「……A?おきた?…ちょっと、もぞもぞしないで」
「さとみさん、おはようございます。今って…」
腕を布団から伸ばして時計を取り、目の前まで持ってきて見せてくれるさとみさん。
「…10時…???」
「ふふ、あれから3時間ぐらい寝ちゃったね。あまりにもAの寝顔が可愛くて…起こした方が良かった?」
「いえ、さとみさんに迷惑でなければ大丈夫です」
そう言うと先程のように抱きしめられる。
「やっぱりこれが一番かな〜」
無言で抱きしめ返すと、さらに腕をぎゅっとされた。
「…Aが可愛いことするから一瞬で目が覚めたよ」
「えっ、まだ寝ていたかったですか、すみません」
「違う、ほら顔洗いに行こ」
さとみさんに手を引かれて洗面所へと向かう。
こうやって平日なのにのろのろしてられるのもあと2日。
濃すぎた連休は、最初どうなるかと思ったが一瞬だった。
なんだか寂しい気がしてさとみさんの方を見る。
「ん?どした?」
「…休日が終われば、私は今まで住んでいた家に帰るんですよね、」
「え、そうなの?それは困る…後で父さんに聞いておくね、色々手配して貰えるかどうかとか」
「さとみさん……」
嬉しくてじわっと来てしまった。さとみさんは焦ったような顔をして、私をまた抱きしめた。
「大丈夫だよ、絶対離れ離れになんてさせないから、ね?」
その言葉が、さとみさんの言葉全部が嬉しくて、何を言われても泣けてきてしまいそうだった。
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ネコ日和。 - 純粋少女の罪は深いぞ😂 (2022年8月19日 12時) (レス) @page13 id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)
春桜(プロフ) - にぁさん» 悲しいとき〜悲しいとき〜間違えて違うページストックを出してしまうとき〜 (2020年11月7日 15時) (レス) id: 5c94dbd8ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にぁ | 作成日時:2020年11月7日 14時