僕を拾ってください (ページ3)

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③ ページ3

「めっちゃ美味いじゃん！！これ！！」

私の作ったキムチチャーハンを貪りながら、器用にキムチも平らげてくる。

何故だか私は、部屋の前に倒れていた男の人を家にあげてしまっていた。

15分前まで警察が、救急車か、なんてまともな考えをしていたはずなのに、なぜ。

バクバクと料理をどんどん平らげていく彼を見ながら何をしてしまったんだろうと後悔した。

(普通に一番やったらダメなことな気がする)

知らない男性を家にあげるなんてどうかしている。

(無理矢理されて…殺される…？)

第一声が「腹減った」、だった彼を前に、私は「昨日の残りならあるけど？」とそれまた間抜けなことを返してしまった。

言ってから「何言ってんだ」と思った時にはもう遅かった。

目をまん丸にして彼が喜んだのでつい家にあげてしまった。

(今からでも遅くないから通報する？)

そんな考えをよそに、彼は満面の笑みで「おかわりある？」と聞いた。

昨日の残りのキムチチャーハンに、バイト先のおばさんから貰った3日分のおかず、そして朝炊いたご飯の残りを彼は全て平らげた。

「ふー、ごちそうさまでした！」

パチン、と手を叩くと私を見て礼儀正しくお辞儀をした。

よく話を聞けばお腹が空いた上、携帯を持っていないので迷子になって私の部屋の前に倒れていたらしい。

「いやまさか、誰かの家だとは思わなくて…すみません」

「あ、そんな。お気になさらず…」

ぎこちない会話が続き、じゃあそろそろ帰ってもらえます？と言おうとした時だった。

「あのさ」

名前も知らない男の人がまじめくさった顔で言った。

「俺のこと拾ってくれない？」

と。