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〜鶴丸side〜
主からの号令がかかり、全員が一斉に自分の膳に箸をつけ出す
勿論俺も例外ではなく、彩りの良い食事に箸を伸ばした
と、そこで俺の左隣に座らせた九条が全く動かないことに気付く
ここまで来ても食べない気か、と呆れ気味に横を見やった
険悪な顔で膳を睨み付けているのだろう、との予想に反し、彼は見たことのないくらいに目を見開かせ凝視していた
予想外のその表情に息を呑む
普段は伏し目がちな赤と黒の瞳が最大限まで開かれている
伏し目の原因である眉間のしわも、今は一体どこへ行ったのやら
純粋に驚きを表現するその表情に
“綺麗”以外の言葉が出てこなかった
そんな顔で「これ、は……俺用の膳か………？」だなんてかすかに震える声で聞いてくるのだから、思わず幼子に言い聞かせるように口を挟みそうになるのをぐっとこらえる
いかん、今ここでそんなことをすれば確実に機嫌を損ね出て行かれる
俺に本来より備わる好奇心といたずら心を必死に抑え込みながら、困惑気味に彼の問いに答える光坊に意識を向けた
そのほんの一瞬の後、俺の………いや、全員の怒りが部屋に充満することになる
A「……おれ、も……食べて良いのか……？」
彼のこの言葉によって
カラン、と何処かで箸と机が音を鳴らす
それが……本来なら騒ぎ声にかき消されて聞こえるはずのない小さな音が、木霊するように大広間に響き渡っている
この部屋はそれほどの静寂に包まれているのだ
扇「な、に………言ってるんだ………？そんな……」
そんな当たり前のこと
そう言おうとして主が口をつぐんだのは、九条がここに来る前に生きてきた場所のことを思い出したからだろう
A「すまない……。俺は食べてはいけないと……、いや、用意すらされないものだとばかり………おもっ、て……っ」
誰にも顔が見えないほど深くうつむいた九条
垂れた横髪の隙間から見える薄い唇は、血がにじむのではと思うほど強くかみしめられていた
そんな彼を見て、俺は先程までの彼への態度に自分で腹が立った
何も知らないのに知った気になって
光坊の言葉しか聞かず頼まれてもいない話し合いを持ちかた
普段なら出されない食事を急に出され『食べろ』だなんて言われたって拒否するに決まってる
彼はどんな気持ちで俺の小言を聞いていたのだろうか
なんで俺はあんなにも偉そうに物事を口にしていたのだろうか
俺は一瞬だけ拳を握り、彼の膳へと手を伸ばした
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凛音 - 本当に面白いです！続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (9月26日 19時) (
レス) @page40 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 中二病の主人公！新しくて大好きです！続きとても楽しみに待っております！ (7月18日 19時) (レス) @page40 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーぬぬーぬぬー - 続きをお恵みください… (2022年11月23日 0時) (レス) @page40 id: 8435a17515 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年9月24日 19時) (レス) @page40 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
YM - このお話大好きです！作者様の負担にならない程度に更新してくださると嬉しいです (2021年12月27日 15時) (レス) id: 0c982d92bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご
| 作成日時：2018年5月13日 18時
