57 ページ11
〜平野side〜
薬研に先に行っているように言われ、僕、前田、五虎退、今剣は一足先に戦場に着いていた
五虎退は少し嬉しそうに、今剣は特に何も考えていないように辺りを警戒している中、僕と前田は建物の影で心を落ち着かせていた
つい先ほど主から聞いた出陣編成
九条様本人の要望により夜戦へ行くことになり、そのお供に僕たちも選ばれた
………先日あんなことがあったのに、だ
九条様が手入れ部屋から出て行った後、いち兄から何があったのかを聞いた
聞けば聞くほど九条様の非はない
謂われのない暴言にあの方はさぞ腹を立てたことだろう
前田「平野………」
横に立っていた前田が不安そうに僕の服の袖を握る
それに「大丈夫ですよ、きっと」と薄く笑って返してやった
勿論、自分でも何が大丈夫なのかなどわかりもしないのだが
その後暫くして、遅れていた薬研と九条様が到着した
物珍しそうに辺りを見回す九条様に、思わず息を呑む
整った顔に薄い月明かりだけが差し込み、うっすらと金の装飾具がその光を反射する
顔の輪郭すらぼやけて見えるのに、紅の瞳だけは妖しく光を放ちその存在を誇張している
暫く呼吸するのも忘れ彼の美しさに見入っていた
そんな僕たちの様子を知ってか知らずか、薬研がこの部隊のメンバーの紹介を始めた
『前田』『平野』
九条様は僕たちの名が呼ばれた瞬間少しだけ反応した
五虎退に向けていた優しげに見える眼差しが一瞬にして凍てつき、暫く宙をさまよい、そして僕たちに向けられる
……彼は今、僕たちを確かにとらえている
暗い街中のその更に暗い建物の影
太刀であれば視認などできないはずなのに
九条様は間違いなく僕たちと目を合わせてきている
暫く目をそらせずにいると九条様は小首をかしげ目を細めた
見下すように、蔑むように、無感情な瞳で、冷徹な瞳で
前田「あ、九条、様……!先日は申し訳ありませんでした……っ!!」
平野「僕たちの早とちりで……大変ご迷惑を……っ」
無言の圧力に心臓を鷲掴まれるような感覚に陥りつつも、なんとか声を絞り出す
薬研「なんだ、お前らも話したことあったのか」
A「………知らんな。何のことやら」
「「……え??」」
A「お前たちの名に心当たりはない」
てっきり怒られると思っていた僕たちは目を見開く
許して、くれるのか
この方はあんな態度をとった昨日の僕たちを忘れ、もう一度最初からやり直してくれるというのか
1700人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (9月26日 19時) (レス) @page40 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 中二病の主人公!新しくて大好きです!続きとても楽しみに待っております! (7月18日 19時) (レス) @page40 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーぬぬーぬぬー - 続きをお恵みください… (2022年11月23日 0時) (レス) @page40 id: 8435a17515 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年9月24日 19時) (レス) @page40 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
YM - このお話大好きです!作者様の負担にならない程度に更新してくださると嬉しいです (2021年12月27日 15時) (レス) id: 0c982d92bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんご | 作成日時:2018年5月13日 18時