２１４ ページ38
〜茜side、過去〜
私が研修に行った本丸の審神者は、“橘”と名乗りました
挨拶の際は柔らかい笑顔で『そんなに緊張しなくても大丈夫だよ？』と声をかけてくれて、肩の力を抜いたのを覚えています
初日から失敗ばかりの私を、あの人は責めること無く優しく教えてくれて……
だから私は良い審神者の元に研修に来れたのだ、と喜びました
最初のあの人の印象はかなり良かったんです
２日目の朝、私は大広間でその本丸の刀剣たちと対面しました
初日は皆びっくりするから明日会わせる、と言われていたのですが、今思えばきっと私にバレないように手入れする時間を設けたんだと思います
私がその本丸で……いえ、人生で初めて見た刀剣は、例えるならば“無”でした
感情を映さない、光りの無い瞳に恐怖を感じました
また、私や橘が少し動く度に大袈裟に反応し肩を揺らす者もちらほらと……
橘が挨拶するように言えばﾎﾟｿﾘの蚊の泣くような声で『宜しく』と呟くのですが、誰一人として私と目を合わせはしませんでした
橘『すまない、ちゃんと挨拶させられなくて。あいつら何時もこうなんだ』
通常の刀剣を知っていれば可笑しいとも思ったのでしょうが、何しろそのとき私は刀剣男士を見るのは初めて
橘の言うことこそが誠であったため、私は異様であることに気づくことが出来ませんでした
元は刀といえど神なのだから
人間と同じ枠組みにいるはず無いのだから
私は何の抵抗も無くそう思い込みました
挨拶とも呼べないような挨拶の後、私達はそのまま朝食をとることになりました
並べられた食事は今まで見た中で一番美味しそうでした
それなのに刀剣たちの顔は沈んだまま
こんなにも感情表現の乏しい異性と同居するなど、審神者は大変なのだと他人事のように思いました
それから１週間ほど経って、見習いの仕事にも慣れてきた頃
私は朝早くに、湯浴みをするために浴場へ向かいました
偶々何時もより1時間早く目が覚めてしまい、朝にシャワーを浴びるのもまた良いだろうと考えたからです
まだ日の昇り始めたような時間だったため、誰も居ないだろうと中を確認すること無く浴場の戸を開けました
そこで私は初めて桜ちゃんに会ったんです
いきなり開けられた扉に驚いたあの子は、着流しを脱ぎかけた状態のままで固まってこちらを凝視していました
だから見えたんです
その背中にある大きな火傷痕と、無数に咲く赤い華が
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1747人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんご(プロフ) - 柄ラーさん» うちのニキは真剣必殺あんま出してくれないですね………ごこちゃんの確率がめちゃクソ高いです (2017年12月27日 12時) (
レス) id: 4be69f9f7e (このIDを非表示/違反報告)
柄ラー - わかります。！！なので、真剣必殺率が高いです。 (2017年12月27日 7時) (レス) id: 8cd9c67edd (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 柄ラーさん» 私の所の子も結構やりに狙われますwwまぁその分何故か絶対粟田口の子が一撃で仕留めるんですけどねぇww (2017年12月26日 23時) (レス) id: 4be69f9f7e (このIDを非表示/違反報告)
柄ラー - うちの本丸のニキは、よく柄までとおして、高速槍にねらわれています。じまん（笑）の初鍛刀です。 (2017年12月26日 11時) (レス) id: 8cd9c67edd (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 出巴さん» リアルは冬休み入ったので落ち着いております！作る話も大体まとまってきました。が、最近出てきた刀剣男士たちのキャラが曖昧なので勉強中ですww年内には続編出したいと思っていますので、それまで待って頂けると嬉しいです！お待たせして申し訳ありません！ (2017年12月26日 2時) (レス) id: 4be69f9f7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんご
| 作成日時：2017年9月8日 17時
