おいで。 ページ16
「…ごめん、Aちゃん。」
「!!」
及川さんはそう言って私を抱きしめた。
強く、ぎゅっと。
私の肩に温かいものが滲む。
「好きなことができなくなるの、辛いよね。
自分が信じてた相手に裏切られるの、しんどいよね。」
及川さんは鼻声になりながらそう言った。
「一度、そういうことがあったら誰も信用できないよね、怖いよね。
一人で耐えたAちゃん、偉いよ。」
「っ!」
私の頬に温かいものが伝う。
あぁ、理解してくれる人が、私を見てくれる人が、ここにいる。
「俺は、どんなAちゃんも可愛いと思うよ。
前のベリーショートも素敵だし、今のショートボブだって。
…Aちゃんであることは変わらないんだから。」
及川さんの言葉一つ一つが嬉しくて、
心が救われたような気がした。
「Aちゃんは一人じゃないよ。
俺がいるし、小田ちゃんもいるじゃん。
Aちゃんが100%の全力出すなら、俺は120%出すよ。
及川さんの全力に勝てるやつなんているわけないしね!!
…だから、さ。」
及川さんは私を離し、手を握って瞳を見る。
「男バレにおいで。」
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作者名:ねお | 作成日時:2022年4月29日 19時