お話いろいろ

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初めてのバレンタインを二人で過ごしたい。

そして、もしかしたら・・ひろからチョコを貰えるかもと

淡い期待を抱いた。

でも、そっちの方面には疎いひろだからもしかしたら

貰えないかもしれないともちょっと思っていた。

だからあえて俺から催促する事はしなかった。

ひろと一緒にいるだけで幸せな気持ちになるから

いつの間にかチョコのことなど忘れて

二人だけのデートを楽しんだ。

そろそろ空も薄暗くなってひろを家まで送ろうとした。


藤「そろそろ送るよ」

北「あ・・あの・・」


さっきまで元気だったひろが急に目を伏せて浮かない表情

今日のバレンタインデーとは失敗だったのか？

でも、ひろは可愛い笑顔だった。

だからこそこの表情が俺を不安にさせる。


藤「どうした？お腹痛い？」


ひろと目線を合わす為に少し屈んで覗き込んだ

やっぱり何か不安なのだろうかうっすら目に涙が溜まっている。


北「あ、あのね・・」

藤「うん、どうしたの？」


ひろが突然俺の腕を掴んで人通りの少ない場所に連れて行かれ


藤「ひ、ひろ・・本当にどうしたの？俺何かした？」

北「違うの、太輔君は悪くないよ。ちょっと待ってね」


するとひろは自分の鞄の中から何かを取り出した。

そしてそれを俺に渡す。


藤「これって・・もしかして！！」


それは可愛いピンクのラッピングで飾られていた。


藤「チョコ・・だよね？」

北「うん、本当はちゃんと用意してたの・・でもね・・」

藤「開けていい？」

北「・・うん・・でも、食べちゃダメ・・」


もう、諦めていたチョコひろからのチョコ。

そっと開けると一口大チョコレートらしき物体が4個。


藤「もしかして手作り？」

北「初めて作った・・でも上手く出来なくて・・グス・・作り直す時間もないしグス」


気が付けばひろは俯いてしまい道路に涙の染みを作っていた。


藤「食べていい？」

北「ダメ！だってまずいよ・・」


口の中に入れようとしたらひろは必死で止めたけど

オレにはきっとまずいなんて思わない。


藤「ンン・・うん・・ビターだねｗ」

北「太輔君！！ッぺして！早く！！」


慌てて『ッぺして』いうひろがまた一段と可愛い。

甘くないなら、甘くしたらいいだけ。

俺はひろの耳元でそっと囁く。

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