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ki side
｢お待たせ｣
車に戻ってきた彼女は少しだけ
ほんと少しだけ複雑そうな顔してた
｢あ、惟斗寝たんだね｣
｢寝たよ〜｣
そっとしておこうって何も聞かずに
答える俺を余所目に
チャイルドシートでスヤスヤ寝てる
惟斗を愛おしそうに見守る彼女。
まあ普通かな？
｢昼ご飯なんか食って帰る？｣
｢そおしようかなー、何食べたい？｣
｢まだ昼前だし、横浜まで行ってみる？｣
｢あり！！めっちゃ楽しそう！！｣
てはしゃぐ彼女。
もう30になるんだぞーなんて思いながら
そおは見えない彼女は可愛くてしかたない。
車を走らせ、静まり返った車内に
ラジオから流れる歌。
>許されない、時効もない、
払えない損害賠償〜
彼に渡された封筒500万也
これで別れてってって言われたけど
本当にこれでいいの？と自問自答
｢ふふ、凄い歌。｣
｢だな、別れる時に500万もらったら何する？｣
｢んー……本当に好きだったら
貰わないよね、笑｣
｢へー、ラッキーとか思わないの？｣
｢思わないよね、お金で買われてたんだ
って思っちゃうかなー｣
＞ 不倫は犯罪です 不倫は犯罪です
不倫は犯罪です 不倫は犯罪です
不倫は犯罪か……
俺らお互い5年前まではしてたんだもんな
しかもそれお互い知ってたって考えたら
だいぶ怖くね？
ピッとチャンネルを変えて
今度は有名なアーティストの
幸せそうな曲が流れた。
｢みづきなんかあった〜？｣
｢なんで？｣
目を合わせずに真っ直ぐ見る彼女は
ピクっと眉を反応させた。
なんかあったな……
｢なんか、帰ってきた時行く前と
雰囲気違うかったから｣
｢何もないよ？歯医者って怖くない？
だからかな？はは｣
ってカラ笑いをした。
ぜってー嘘だろ。
｢……まあ何もなかったらいいけど
なんか辛いこととかあったら言って？
俺ら夫婦だぜ？｣
ってちょうど車が止まったから
頭をわしゃわしゃってした。
｢ありがとうね｣
クシャって笑う彼女。
何でそんな切なそうな顔すんだよ。
胸の奥がザワザワした。
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作者名：みつこ | 作成日時：2018年5月19日 0時
