46話 ページ47
ジリリリリリリリリ！！！
穏やかだった空気をつんざくような
ベルの音が鳴り響いた。
「っ？！」
聞き覚えのないその音に、
一同は一斉に立ち上がる。
…ただ1人、シロを除いて。
「っなに？！」
「敵襲？！」
「聞いた事ねぇよこんな音！！！」
と、シロは落ち着いて
軍服のポケットから端末を取りだした。
「はい、もしもし」
意外とよく通るその声に、
揃って信じられないと言った視線を投げる面々。
シロはそれには気づかずに口を開いた。
「ご無沙汰してます。司令官」
シロに向いていた、
ビビらせんなバカ！！という非難の瞳が失せ、
再度緩んだ空気が再び張り詰める。
まふまふ以外
基本的に司令官に対面することは無い。
ましてや、通話するなんてことはもっと。
否、シロが
司令官に直通電話をかけられることは、
天月以外知っていたのだけれど、
まさか向こう側から
かかってくるなど想像だにしていなかった。
「はい、シロです。
部隊の人間ですか？今全員揃っていますが」
シロはあくまでたんたんと言葉を紡ぐ。
単身遊撃部隊だったころ、
この手の電話には慣れていた。
上司は基本的に直属の彼なので。
「はい、脱隊の件ですよね」
シロがそう言った瞬間に天月が口を開いた。
それを後ろからうらたが羽交い締めにする。
その上からまふまふが全力で口を押さえ込んだ。
直通電話中に他人が口を挟むなど、
どうなるかわかったものでは無い。
…いくら、決定に不満があろうとも。
そして同時に、シロが残ると言ったところで、
脱隊の話は1度司令部に届いているのだと
再認識する。
「やだなぁ本気でしたよ？
……ったくレイさん、仕事が早いなぁ」
走った緊張に対して、
シロは呆れたようにため息を零した。
レイさん、その単語に天月の動きが止まる。
その後に続く仕事が早い、という言葉は、
一体どの意味なのだろう。
「ハイハイ、
どうせ抜けさせてなんかくれなかったくせに。
へーへ、せいぜい精進致しますよっと。」
かっこつかないじゃん、
とシロは通話を切った。
「………………」
全員に凝視されてその動きが止まる。
な、なんですか？と上擦った声が響くも、
数秒の間誰も何も返事をしなかった。
「のこるん、だよね？」
震える声で天月が口を開いたのは、
その30秒ほど後だったか。
永遠とも感じるほどの静寂に、
シロが逃げ出そうかと考え出した頃合いだ。
「……はい。」
通話時の態度とは裏腹に、
シロは楽しそうに笑った。
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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…！読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね！！ (2020年9月11日 22時) (
レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜！！今日また見返してほっこりしてますw！！ (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…！ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです！！ (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜！！心温まる〜！！！ (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……！！頑張りますね！！ (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：目に煮凝りができた | 作成日時：2019年12月23日 14時
